第五章 三.

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第五章 三.

 汐吉は沙雪の変化を気にしつつも、亀戸天神社に行くことになり、四人はそろって沙雪と蒼早の家を出た。そうして、最寄り駅である東京メトロの大手町駅に着こうかという時、声をかけてきた人がいた。 「あれ、店長さん?」 「あ? ……おお、二俣くん」  汐吉がその方を向くとカンテラの常連客である二俣侑斗がいた。いつもは北区で会う彼がこんなところでばったり、というのは、よほど偶然が重なったに違いない。 「和氣さんも、こんにちは」 「こんにちは!」  紅乃もニコニコと返事をする。侑斗は沙雪に視線を移し、一瞬値踏みするように目を細めた。が、すぐにいつもの表情に戻る。 「あなたは、確か前にカンテラにいた人ですよね」 「えっ? あ、私ですか、ええ、はい……」  自分にも声をかけてくると思っていなかった沙雪は、少しうろたえながらうなずく。 「そちらは?」  蒼早を見た彼が、首をかしげるようにして汐吉に尋ねる。
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