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「ああ、紹介しておくか。この子は、鹿占蒼早くん。この人は松浪沙雪さん。今後も店で会うと思う」
蒼早と沙雪を手で示しながら侑斗に紹介をする。彼はふうん、と興味深そうに聞いているようだった。
「しかじめ、ね」
「……」
蒼早が睨む。侑斗はその視線を受けてなおも、口元は笑んだままだ。汐吉はそうだ、と蒼早と沙雪の方へ顔を向ける。
「蒼早、松浪さんにも紹介するな。この人は二俣侑斗くん。松浪さんが初めて店に来た日にいた」
「どうも、二俣侑斗です。一応、小説家志望」
ノートパソコンを入れた鞄を軽くポンポンと優しくさすりながら侑斗は自己紹介をして頭を下げた。
「松浪沙雪です。写真家をしていて……あ、これ、名刺です」
沙雪は慌てたように白いジャケットの胸ポケットから名刺ケースを取り出して、一枚取り出し差し出す。
「わあ、きれいな名刺ですね。すみません、僕はこういう名刺しかなくて……在宅ライターとして働いていまして」
侑斗に差し出された名刺を沙雪は受け取る。二俣侑斗、確かにとあるサイトのライターとして働いているようだ。
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