Story‐1 鈴重さん家の他愛ない日々

4/24
前へ
/163ページ
次へ
基本鈴重家のルールとして自分から他人を傷付けたり喧嘩に発展させたりするのは禁止だ。だが相手からの発端ならば容赦するなというのが決まりである。 ちょっと変わった家庭ルール。それは両親がそんなルールの中で生きてきたからに他ならない。 「あっ、そうそう。今日お父さん帰ってくるから」 「「っっ!?」」 朝道と奏が目を見開き驚いた。奏に関しては手から箸が落ちるくらいの衝撃だったらしい。 「昨日は朝道の誕生日だったけど帰ってこれなかったから今日は意地でも帰るってさっき連絡があったわ」 「……いつぶりだ?お父さんが帰ってくるの」 「……三ヶ月くらいじゃない?」 「ちょこちょことは帰ってきてるわよ。でも基本平日の昼間だからあんたたちが会えてないだけね」 「そ、そうなんだ…」 「何時ぐらいに帰ってくるの?」 「さあ、お父さんも忙しいから。出来るだけ早くに帰ってくるとは言ってたわよ?」 まさかの情報に半分放心状態になっていた二人だったが、突然スイッチが入ったように夕飯をかき込み始めた。 「あんたたちホント……まあいいわ。いつ帰ってくるかわからないんだし、そんなに慌てなくてもいいと思うんだけどねえ」
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加