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とりあえず奏の提案は却下され、項垂れる奏を放置して夜道は浴室へ向かう。その後ろ姿を獲物を狩るハンターのような眼光を灯した目で見つめる響。
「明日も休みって言ってたし、今日まで仕事だったんだからゆっくりさせてやろうぜ?」
「言われなくてもわかってるし。ていうかそれ言うならお母さんに言いなさいよ」
「あんなヤベー顔した人にそんなこと言ったら殴られそうで怖いから無理」
「意気地無し」
「やかましゃ」
案の定夜道が風呂に入ったタイミングを見計らって突入をしかけた響が叩き出される。それを子供たちはスルーし、朝道は自室へ戻り奏は響の代わりに夕飯の片付けに取りかかる。
「フー、上がったぞ」
「お父さん久しぶりにお酒飲まない?あたし飲みたい」
「…………。いや、やめとく」
「なんで!?久々なんだから一杯くらいいいじゃない!」
「今日はもう眠いんだよ、ゆっくり寝させてくれ」
「寝させると思うか…?」
舌舐めずりをした響にブルッと背を震わせた夜道。危険を察知したのかリビングを見渡し、しかし見当たらないので、
「朝道!どこ行った朝道!?」
「えっ、な、なんだよ」
自室から出てきた朝道に駆け寄る夜道は財布を引っ掴んで、
「ちょ、ちょっと朝道とコンビニ行ってくる。母さんと奏はその間に風呂入ってろ」
「あたしは待つぞ」
「入れ!!い、行くぞ朝道!」
「あっ、おうっ…!」
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