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そんな話をしていると目的地に着いたようだ。そこは貸出用のガレージだった。
「俺はいつも側にはいられない。だから朝道、お前にも母さんと奏を守って欲しいんだ。母さんも強いがその母さんを守る奴がいなきゃ母さんの負担が大きい、朝道にはその負担を少しでも背負って欲しい」
「……まぁ、お母さんを守るような場面があるかはわからないけどそういうことならやるよ。家族だし」
「助かる。だからこれはお前への誕生日プレゼントと、あとは俺と母さんの重荷を背負ってもらうことへのほんの気持ちだ」
ガレージの一つ、そのシャッターを押し上げて電気をつけるとガレージの中を聡明に照らし出した。
布を被された大きな何か。だけど朝道にはうっすらとはなんなのかがわかりポカンとしてしまう中、夜道は布を一気に剥がした。
「誕生日おめでとう、朝道」
「…………こ、これ…バイクじゃん…!」
姿を見せたのは黒いボディーのオートバイだった。傷一つ無い綺麗なそれを見て朝道は間抜けな顔を戻せないまま夜道とバイクを交互に見る。
「生半可な物じゃ重荷に対して釣り合わないと思ってな。たまたまお前の部屋でバイクの本を見つけて、よく見てるページからこういうのが好きなんだろうと推測して買った。傷は直してあるが新車じゃないぞ、悪いが俺の財布には新車を買う余裕なんて無いからな」
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