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充実した日常……その根底にいるのは一人の少年である。
そんな彼、鈴重朝道はというと、今現在少しばかり面倒な事態に直面していた。
「ホンッット懲りねえなぁテメェらは…」
周囲を取り囲む柄の悪い少年たち。奇抜な色や髪形をし、おまけに鉄パイプや金属バットで武装した少年たちは鬼の形相で睨み付けてくる。
ただし、睨む先は朝道だけじゃない。
「お兄ちゃんのせいで私まで面倒事に巻き込まれちゃってるじゃん。責任取ってよ」
「せ、責任っつったってよぉ、こいつらが勝手に群がってきたんだから俺のせいじゃなくない?」
「ハァ…お兄ちゃんが一緒に帰ろうなんて言い出したからでしょ」
「偶然出会して帰る場所一緒なんだから仕方なくないか!?」
朝道の妹、鈴重奏は不機嫌な顔で言い訳をする朝道の尻を蹴った。
「兄妹一緒にお出かけだったか?シスコンにブラコンかよ気色悪いなァ」
「捻り潰すわよ……そんなわけないでしょうが」
「けど運がよかったぜ。妹のお前にも借り返さねえとと思ってたんだ、兄貴と一緒にボコった後に女に生まれたこと後悔させてやるよォ」
「うわっ、何そのありきたりでダサい台詞……気持ち悪い」
「確かにダセえし三下感満載だな。平気な顔して言ったけど恥ずかしくないのか?」
「余裕じゃねえか鈴重ェ……今日こそはその面形変えて二度と外歩けねえようにしてやんよォッ!!」
鉄パイプで地面を叩き、それに合わせて周りのチンピラたちもやる気を見せる。
「あんま遅くなったらまたお母さんに怒られるよお兄ちゃん」
「だなぁ……ならさっさと片付けて帰るか」
「病院に寄り道させてやるよォ!!やっちまえェエッッ!!!」
一斉に朝道と奏へ殺到するチンピラたち。
二人は至極落ち着いたまま拳を握り、一番近い男をターゲットに定めて自らも前に出る。
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