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そして、言った。
「大丈夫か?」
予想外の言葉に殴り付けた少年も驚きを露にしてしまう。
「そんな固い物で俺を殴ったんだ、手首とか痛めてないか?」
「あ…ああ!?な、なんで!?鉄パイプだぞ!?殴られてなんで平気な面してやがる!!?」
「人より頑丈だからな。けどまずいぞお前、そんなので殴ったら正当防衛は普通に成立する。状況証拠だけでも言い逃れは出来なくなってたのに」
頭をかいた夜道はため息をつき、それから路肩に止められていたチンピラたちの大型バイク、その一つに近づいて。
「よっ」
『!!!??』
片手だけで大型バイクを頭上に持ち上げ、チンピラたちがギョッと目をひん剥いた。
「俺も二人と同じ魔術師だ。しかも魔術無しでもこれくらいは出来る」
『………』
「約束しろ、もう二度と二人には近づかないって。もし破って、二人からまた喧嘩売られたって聞いたら───テメェら全員見つけ出して俺がぶちのめす」
『………』
「………、返事!!」
『はっはいぃ!!』
そんなわけで、チンピラたちは蜘蛛の子を散らすように消えた。一瞬で大勢の人間がいなくなり寂しさを覚える中、夜道は何事も無かったみたいな口振りで、
「一緒に仕事してた天倉も夕飯に誘った。さっさと帰るぞ、お母さんにどやされるからな」
「「……は…は~い…」」
返事をし、先を行く夜道と夜道に続く美空を眺めてから朝道と奏は二人顔を見合せ、それから笑った。
「やっぱりお父さんは」
「最強ね」
「何してる?帰るぞ二人とも」
二人も並んで夜道を追いかける。
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