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夜道が顎で指示し、朝道はすぐにバイクに駆け寄った。ぐるりと何周もしながらバイクを見て、触って、朝道の顔がパァッと明るくなる。
「すっ、すげぇ……こ、これ、ホントにいいの?」
「お前がバイトしてんのは教習所に行くためなんだろ?母さんから聞いてるよ。実物があればやる気も出るだろ?」
「おは~…っ!俺こういうの乗ってみたかったんだよ!マジでいいの!?これ俺が乗っちゃっていいの!?」
「無免許で乗ったらブッ飛ばすぞ?」
「イエス絶対乗りません!!」
敬礼までして宣言した朝道に夜道は笑い、財布からキーを取り出してエンジンをかける。ブオンッ!!とアクセルを捻って排気音を響かせると、それだけで朝道のテンションがまた上がった。
「マフラー変わってるじゃんっ!!」
「よくわかるな。俺はバイクに詳しくなくてな、陽京……仕事仲間の奴に聞いて薦められたから付けてみたんだ」
「うわぁすげぇ……乗りてえ…」
「コンビニ行くし、これで軽く走って行くか?」
「マジッ!?ほほほー!乗る乗るぅ!」
夜道の運転で朝道は後ろに乗る形でいざコンビニへ。あえて遠回りしながらバイクを走らせ、後ろの朝道は加速するたびにうわうわ言っている。
「朝道」
「何!?」
「母さんたちのこと、よろしく頼むな」
「任せなさいよ!!俺がみんな守ってやるぜ!お父さんもお母さんも奏もな!!」
「俺も守ってくれるのか?そりゃありがたいな」
親子の誓い。それを朝道がどれだけ胸に刻んでいるのかは、少ししてわかることになる──。
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