Story‐1 鈴重さん家の他愛ない日々

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「あっ!バイトの時間だから行ってきま~す!」 朝道、ありもしないバイトをでっちあげて逃亡。残された夜道は静かに目元を手で隠し、奏が逃亡した朝道をとんでもない目で見送った。 「………おいコラ、何やってこうなったんだコラ」 「母さん、昔の口調が出てるぞ落ち着け」 「あ"ん?」 「……申し訳ない。ちょっと腕相撲をしたらテーブルが壊れた」 「なぁんで腕相撲でテーブルが壊れんだァ!!?お前ら自分が普通の人間じゃないこと忘れたのかオラァッ!!」 「す、すまん…復元魔術ですぐ直す」 「買ってこい」 「え」 「今すぐ!!これよりいいの買ってこい!!」 「はっはい…!奏買い物行くんだろ、行くぞ!!」 「了解です!」 鬼の形相の響から逃げるように父と娘は家から飛び出した。久しぶりの怒り剥き出しの響にはさしもの夜道でも頭が上がらない。昔からずっとこうである。 「テーブル、魔術で強化しとくんだったな…」 「済んだことだし今さら言っても仕方ないよ。それよりお父さん、買い物行こ買い物!」 「最初からその予定だったし、まぁいいか。車で行くぞ」 奏の買い物とテーブルと、あとは響への土産を買って帰ることに決めた夜道は奏を乗せて車を走らせる。向かう先は家から少し距離がある大きなショッピングモールだ。
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