Story‐0 普通じゃない子供たち

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少し前は"こうじゃなかった"らしい。 人には言えない秘密を持っていた人たちは自分たちが代々受け継がれてきた悲願を達成するために光を嫌ってずっと影で生きていた。今もその考えは続いているようだが、今と昔では置かれている状況が違う。 誰にもバレなかった。バレないようにしてきた。 でも今となっては全部がバレバレだ。 長い歴史の中、逸話はあれど明るみになったことが無かったけれど今ではその逸話とやらは現実に実在すると認められてしまっている。 生きづらい世の中になってしまったことだろう。でも、そんな世の中に変わってから生まれた者たちにはそれが当たり前になっているせいであまり生きづらいなんて思わない。 ただ、面倒だとは思う。 だって、 「───魔術師ってのは不便だよなァ、スゲー力があんのに今じゃまともに使えないんだからよォ」 魔術師でない人間に一目で魔術師と理解され、こんな風に目の敵にされてしまうのだから。 基本的に魔術師はその正体を隠す。だけど今の世界のルールとして完璧に隠し通すことは禁止されている。 魔術師とわかる目印。魔術師たちは皆どちらかの手首に銀色のブレスレットをはめていて、だから魔術師でも無い『一般的に普通とされている』人間からはそれを見られればあっという間に魔術師だって知られてしまう。
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