Story‐1 鈴重さん家の他愛ない日々

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「まずは奏の買い物からだな。何が欲しいんだ?」 「服とアクセ、それに化粧品かな。あとは色々小物が欲しい」 「…ついに奏も化粧品に手を出すようになったのか。もうそんな歳か」 「最近はみんなそうだよ、お母さんも子供の頃は化粧してたでしょ?」 「確かに出かける時とかはしてたな。まぁそれも母さんと付き合ってからの話だが」 「お母さんにプロポーズされたんだよね、高校生で、しかも逆プロポーズなんてお母さんもやるよね」 「昔から肝は据わってたからな母さんは」 「でも少し意外かも」 「何がだ?」 「だってお父さんとお母さんって真逆のタイプじゃん。お母さんはヤンチャな感じだし、お父さんは悪く言ったらネクラだし」 「なんで悪く言うんだ……ネクラじゃねえよ」 「でもはっちゃけるタイプじゃないでしょ?お母さんははっちゃけてそうだし、馬が合わない気がするけど」 「確かにたまにあいつのテンションには引いてたけど、好きになっちまったらそんなもん気にしなくなったからなぁ。響がああいう奴だから好きなったんだろ」 「……お父さんの口からノロケが聞けるなんて思わなかった」 いたずらっ子みたいに笑う奏に夜道は自分が今口にした言葉にハッとして顔を背ける。そんな夜道にクスクス笑った奏は夜道の腕に腕を絡めて、 「今は私とデートだよ、ちゃんとお母さんと同じようにエスコートしてよね」 「変なこと言うな、俺が変な目で見られるだろ」
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