Story‐1 鈴重さん家の他愛ない日々

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「……まさか、その魔力粒子が?」 「はい。『黒』を彩る魔術はすでに存在していましたが、『闇』を具現化した魔術なんて物は魔術師には作り出せませんでした。形だけの『闇』ではなく魔力その物が『闇』なんていう理解出来ない属性、その力を持っている……それこそが『黒魔術』の根幹にあったんですよ」 「確かに、辺りを闇に染める『現象術』はあるがあれは光を遮断して作られた単なる暗闇だからな。魔力単体にあれほどの異質を込めるなんてのは不可能に近い。その不可能を可能にしたのが『黒魔術』、数少ない魔術師たちしか使えなかった異質その物。それを魔力粒子を取り込んだ魔術師たちが実現させたってことか」 「はい、その通りです。実際に発現させることに成功した魔術師は数自体はそこまでですが着実に増えています。現に世界中の至る所で観測されていますからね」 「この話をしたということは、お前が日本に来た理由は…」 「───今、日本に『黒魔術』を使える魔術師が潜伏している、ということですよ。私は彼らを捕らえるために遥々やって来たんです」 「そいつらの逮捕に協力しろってことか」 「それと、囮になって欲しくて」 「囮?」 「彼らの目的はさらなる『黒魔術』の向上。それを手っ取り早く成し遂げるには、『闇』の力を使い、人間には無い特殊な力を持つ者の魔力を吸収することです」
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