Story‐0 普通じゃない子供たち

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このブレスレットは、魔術を使う際に必要な魔力を検知したらアラームが鳴り、魔術師を管理している魔術協会に自動的に通報される仕組み。取り外しは可能だが屋外で取り外しているのを知られれば問答無用で魔術協会の独房行き。 ブレスレットを騙す手段は無い。厳重なシステム管理とネットワークによって外部からのアクセスを検知した時点で居場所まで協会に知られてしまうのだ。ある意味魔術師は雁字搦めの生活を強いられている。 「今日という今日は容赦しねえ、絶対にブッ殺してやるから覚悟しろやゴラァ!!」 怒号が飛んでくる。奇抜な髪形と髪色の厳つい少年たちはみんな金属バットや鉄パイプを持参していた。 取り囲まれる形。中心にいる金髪の少年は耳の穴に小指を突っ込みながらうんざりした顔をする。 何度目だろうかこの状況は、たった一回やり返したらこの様だ。いい加減にしてほしい気持ちでいっぱいの少年はスマホで時刻を確認する。 「もうすぐ夕飯の時間だ。おい早く済ませようぜ、んでもうこれを最後にしてくれ。いやホントマジで」 「調子に乗ってんじゃねえぞテメェ!!ブッ殺せェッ!!」 リーダー格の少年の合図で一斉に向かってくる。殴られれば痛いじゃ済まない武器を持っているのに本気で殴る気でいる。 わかっているからだ。そうでもしないとこの少年は沈まないことを。
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