Story‐0 普通じゃない子供たち

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「───今、私にブスって言った?」 鉄パイプ越しに冷酷な眼差しがギロリと向けられ、男が驚くよりずっと早く。 ドゴンッッ!!!!と今日一番重い音が鳴り響いて、振り抜かれた右手首でブレスレットが夕陽に当てられ煌めき、金髪の少年が頭上を見上げてから振り返って───少年たちの山の頂上に、リーダーである少年が白目を剥いて落下した。 「……狙ったのか?」 「ゴミは一纏めにしなきゃダメでしょ」 「ハ…ハハハ、恐ろしいなぁ我が妹様は…」 「何か言った?あんたも纏めてあげようか?バカ兄」 「ソーリー」 金髪の少年と黒髪の少女は兄妹。 鈴重 朝道(すずしげあさみち)と鈴重 奏(すずしげかなで)。 「とにかく、お母さんには報告するからね」 「待って待って!こ、ここは取引といこうじゃないか奏ちゃん、何が欲しいんだい?お兄ちゃんに買える物なら買うからそれで目を瞑ってくださいよ…」 「レヴィービンクの新作ワンピース」 「ガチのブランド品買える予算なんてお兄ちゃんの財布には無いでゴンス!!」 「お兄ちゃん知ってる?内臓っていい値で買い取ってくれるんだよ?」 「臓器売買しろと!?まんま闇取引じゃねえかっ!!奏様どうかご慈悲をーーっ!!」 これは変化した世界で生きる二人の兄妹の物語。 欠陥ありきで最強となった魔術師、その血を引いた子供たちの日常の一部をご覧いただこう。
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