Story‐1 鈴重さん家の他愛ない日々

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「キモい物真似するな!そんなこと言ってないしっ…」 「はーん!?じゃあ制服についたクリームはなんなんですかー!?」 「!?」 「というわけで、この妹ちゃんが全部悪いです」 「元はと言えばあんたが悪いんじゃない!!」 「なにゃあ!?」 「何!?」 「おいコラ」 バヂィイッ!!と突然響いた稲妻の音に肩を跳ねさせる。原因の電気が近くで発生した雷の影響で明滅し始める。 睨み合っていた二人は恐る恐る顔を正面にいる母親へ向けた。 「───どっちもどっち、同罪じゃガキどもがァ!!」 「「ぎゃああああああああ!!」」 ───そんなわけで夕飯の時間。 頭にたんこぶを生やして並んで座る二人はまだいがみ合っていてテーブルの下で格闘が起きていた。足がガンガンぶつかるが、食卓の反対側にいる母の怒気を感じ取り大人しくなった。 「暴れるなら叩き出す。黙って食え」 「「あい」」 聞こえるのはテレビの音と咀嚼音だけ。なんともピリピリした空気の中では食事も満足に楽しめない。 「朝道」 「ふぁい!」 「喧嘩はするなとは言わないわ。寧ろ徹底的にぶちのめしなさい。あたしも昔はそうしてたし」 「了解であります!」 「奏はなるべくそんなことしないように。朝道は男だからヤンチャは仕方ないけどあんたは女なんだから女らしくするのよ」 「女らしくっていうのがよくわかんないんだよなー……」
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