0人が本棚に入れています
本棚に追加
---眠い(ねむい)---
制作:kaze to kumo club
著作:ルシファー16
---眠い(ねむい)---
最終話
夜がやって来た。
深い闇が……野村家の悲劇を隠す。
わずか20メートル先には……大通りがあり……沢山の車や人通りがある。
世界は平和だった。
カサカサカサカサ……。
法子は気づいた。
ぼーうーと、暗い視界が……広がっていく。だが、身体が動かない。
なにか……もぞもぞする感じ。
嫌な……臭いだ。
「ウウウウ……ここは……どこ……?」
まだ眠いまぶたを必死にこらし、あたりを見ようとする法子。
その瞬間、目に激痛が走った。
「ギィヤヤヤヤー!!」
左目に……なにかが……突きささっている。
それは……なおも……奥へ奥へとねじこんでくるのだ。
「ウギャアアアアー! ……やめてー……!!」
鮮血はほとばしり、身体に流れてくるのがわかった。
薄れる意識の中で……法子は、やっと……現状を理解した。
ここは……天井裏なのだ!
自分は……あの黄色い糸にからまれ……柱にぶらさがっている。まるで……ミノムシのように……。
そして、からだに流れる血を……その糸たちが吸っているのだ。
イヤ、糸ではない……。
糸の中に寄生する……ミクロなウジムシたち。
それが、法子の皮膚から血を吸い、じわじわと……体内にまで入ってくる。
「た、……たすけて…………」
やがて……目の激痛は薄れ……強烈な睡魔が……彼女を襲った。
その中で法子は……確かに感じていた。身体の中で、無数のウジムシどもが動き回り……自分の命を食らっていくのを……。
ただ、ひどい眠気が……今は、わずかな救いにさえ……思えるほどに……。
法子は……最後に呟いた。
「眠い……」
最終話、終了です。
ご愛読、誠にありがとうございました!
次回作をお楽しみに……ねえ!?
最初のコメントを投稿しよう!