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---眠い(ねむい)---
制作:kaze to kumo club
著作:ルシファー16
---眠い(ねむい)---
「眠いんだよ、おれ……」
「なに言ってるのよ、あなた。会社に遅れるわよ」
法子はだらしなく布団にくるまる主人、雅春を無理矢理……起こそうとしていた。もう、7時40分を回ろうとしている。
「あなた、早く起きてくださいよ! 恵美を駅まで送ってくれるんでしょ?」
「ウウ~ン、頼むよ、法子。今日は休むよ、会社……」
そのまま、たかいびきをかき、眠り込んでしまった。
「もうー遅くまで……飲むからよ……」
法子はやもなく、恵美の部屋に向った。
寝室を出て……台所を回り……2階への階段までくると、法子はおもむろに叫んだ。
「恵美、お父さん、会社休むって…。
悪いけど、今朝はバスでいってくれる?」
返答はなかった。
朝日が窓べりからもれて、みがきあげた階段を照らしている。
「まさか、あの子まで……?」
光る階段をバタバタと登ると、正面に恵美の部屋があった。
「恵美、まだ起きてないの? もう8時になるわよ! 遅刻しちゃうわよ!」
だが、なにも……返答がない。
法子は心配になり、ドワを開けようとした。が……カギがかかっている。
いつもは……かけたりする子じゃないのに……?
「恵美!恵美! いるなら返事なさい! 恵美……!」
その時だった。
妙な音が聞こえてくる。
カサカサカサカサ……。
ゴキブリでもはうかのような音……。でも、なにか鈍い感じがする。
「なに?この音?」
その音は上から来ている。
そう……、天井でなにかが這い回っているのだ。
はじめて、法子は……恐怖を感じていた。
1話目、終了です。
次回をお楽しみに……!!
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