星に願いを

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赤、青、緑、黄、紫…… 暗闇に浮かぶ色とりどりの星々が、ふわりふわりと揺れている。 「どう? 見つかった?」 隣から尋ねられ、静かに首を振った。 「ここにはなさそうだ」 「じゃあ、次へ行こう」 「うん――、いや、もう少しだけ見てみようかな」 「長く見ることに意味はあるの?」 「分からない。でも、見落とす心配は減る」 「君が見落とすなんてあり得ないでしょう」 「それでも、だ」 もう一度、目を凝らす。 絶対に見落としてはならない。 「今さらの質問だけど……わざわざ地に堕としてまで救う必要なんてあるのかしら」 もういちど静かに首を振る。 その問いに対する正確な答えを、僕は持っていない。 ただ、このままではいけないと思うだけだ。 「地の生命体に心を与えようなんて、考え付くのは君くらいのものよ」 「――僕のことを酷い奴だと思う?」 「さあ。心がない方が幸せともいえるし、心がなければ得られない幸せもあるでしょうし」 その言葉にほんの少し救われた気持ちになり、改めて周囲の星々を見渡した。 やはりここにはなさそうだ。 「よし、次へ行こう」
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