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コトノハ
自作の中に、『町シリーズ』と私が称しているシリーズ作品があります。
『森のアルファさん』
『LOST CHILD』
『KILL ME KISS ME』
の三作が、そのシリーズ作にあたります。
ずっと二次創作しかしてこなかった私が、ある商業BL作品でオメガバースにハマり、世界観もキャラクターもストーリーも、全てを一から創ってみたいと思い立って書き始めたのが、『森のアルファさん』でした。
お分かりの通り、タイトルのインパクトを狙いました(笑)
頭の中に、青々とした森のイメージがあり、とにかく勢いのある主人公が、物語を駆け抜けていく様子を書きたい!と思ったのを覚えています。
一次創作は駆け出しだった私の、当時の気持ちも影響したのかも知れません。
この『森のアルファさん』を書き終えた時点では、シリーズ作にする予定は全くありませんでした。
二作目の『LOST CHILD』の主人公である悠が、『森のアルファさん』の主人公・麒麟のかつての同級生という設定は、実は書き始めてから思いついたものです。
如何に思いつきで書いているかがバレてしまいますね…(笑)
正確に言うと、私が思いついたと言うよりは、悠というキャラクターが「俺はコイツと同級生だった」と明かしてくれたような感覚です。
書き始めると、私は自分自身の思考を殆どアテにしません。
作品の中で生きているのは私ではなくキャラクターたちなので、彼らの感情や行動が全てです。
このあたりは私が創作する際の感覚の話なので、あまり上手く伝わらないかも知れないのですが…。
とにかく、私は書いている間は作品の世界に入り込むので、物語の展開もその場その場で変わっていくことが多いのです。
だから敢えて、プロットは一切つくりません。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、『LOST CHILD』は書き始めたところで突然過去作とリンクすることが決まったので、
彼らの間に何があったのか、
二人が同級生だった時期が、現在にどう影響しているのか、
それらを紐解いていく感じで、書き進めていきました。
『LOST CHILD』を書いていた当時、私は創作活動が現実逃避になりつつありました。
私は元々人付き合いが苦手で、内に篭りがちな性格なので、吐き出せないドロドロとした重い感情を全て、作品にして書き出していたのです。
だからでしょうか、『LOST CHILD』の悠と本郷には、随分と重いものを背負わせてしまいました……ごめんよ!
彼らをハッピーエンドに導くことで、私自身も救いが欲しかったのだろうと思います。
この『LOST CHILD』は、自作の中で最も「泣きました」という感想を多く頂きました。
書き上げた当時は、ただただ作品の世界に没頭することしか頭になかったので、実は私自身はピンと来ていませんでした。
ハッピーエンドと捉えてもらえなかったのかな…と不安になったりしていました。
少し時間を置いてようやく、読んでくださった方々が二人に寄り添ってくれたのだとわかり、今では私にとって本当の救いになっている作品です。
シリーズ二作目である『LOST CHILD』を書いている途中で、三作目の執筆は決めていました。
一作目と二作目を通して登場した、医者の月村の物語をちゃんと書きたかったのです。
ただ、これを書くのにはかなり時間がかかりました。
というのも、この月村に関しては、過去作の中で既に未来(結末)を書いてしまっていたからです。
前述の通り、私はプロットをつくりません。
そんな私にとって、既に着地点が決まっている物語を書くのは至難の業でした。
過去の二作と矛盾が生じないように、かつ新しい作品の主人公として、キャラクターを書き起こすことの難しさを痛感しました。
難産の末にどうにか完結したものの、実は未だに不安で、まともに読み返すことが出来ずにいるのが、シリーズ三作目の『KILL ME KISS ME』です。
私は勝手に『町シリーズ』と呼んでいますが、これらは(一応)それぞれ単独でも読んで頂けるように書いたつもりです。
各作品にそれぞれのカラーを持たせつつ、三作通して読んで頂いた時に、それがすっとグラデーションのように溶け合えば良いな、と思っております。
エブリスタさんのありがたいところは、作品へスターなどのリアクションを下さった方、一人一人のお名前が見えることです。
このご時世、何かと気持ちが沈んでしまうこともありますが、エブリスタさんの通知欄を見ると、本当に元気が貰えるのです。
初めて見るお名前だけど、私の作品を目に留めて下さったんだな。
この方はこの作品を気に入って下さってるんだな。
いつもスターを下さるこの方は今日もお元気かな。
「創作が友達」という寂しい私の孤独が、パッと忘れられる瞬間です。
本当は一人一人、ちゃんとお礼の言葉をお伝えしたいといつも思っております。
私は言葉が好きです。
日本語のやわらかい響きが、とても好きです。
私の綴る言葉を受け取って下さった全ての皆様、そして、10周年の記念に素敵な企画を用意して下さったエブリスタさん。
いつも本当に、ありがとうございます。
これからも言葉を通して、ささやかな何かを発信していけたらと思っております。
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