120 残念公募とつれづれに考えていることなど……改稿ザムライとともに

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120 残念公募とつれづれに考えていることなど……改稿ザムライとともに

 白い着物をまとった改稿ザムライは全長9尺ほどある大刀を帯から抜き取り、脇に置くと渡瀬どんの正面に座った。当然、改稿ザムライは上座である。 「この虫けらめ。わはははは、やはり小学館警察小説大賞で一次突破できなかったな」  うぬ、このサイコパスめと思いながらも、愚かな渡瀬どんは頭を低くするしかない。 「集英社の2023ノベル大賞で『血の祈り』も一次通過できなかったであろう」 「でもまあ……どちらも賞にそぐわなかった、というだけのことでございます」  自分をなだめつつ渡瀬どんにも言い分はある。 「いわゆる『警察小説ジャンル』は初めから口に合わない……といいましょうか。警官を主役にすえた映画や小説は楽しめても、自分が書くとなるとどういうわけか……シュルルルル、と気力集中力ともになえる体質でして……それでも平安時代の検非違使に取材して一本書きたい思いがあったわけです。まあ、こういう動機で書かれた小説が一次通過できないのは仕方がなかったかな? と愚考しております」
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