138 捨て猫記

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 立ち上がらせるためには、わざとイヤがるダッコをすればいい。きっとあきらめて家に入るはず。  身をかがめ、片手をおなかの下に。もう片手を胸のあたりに。  おや?  驚いたことに、コロは抵抗しません。  わたしに抱き上げてもらい、尻尾をリラックスしたようにだらりと下げ、かすかに左右に揺らしています。顔だけは不機嫌を示して、プイとそむけたままでしたが……。  体重15キロ。年齢12歳。人間だったら立派な大人……いえ、犬であっても立派な成犬です。  拳2つ分の子猫とは段違いに体格も重量も違います。  そのまま庭をまわり、リビングの窓の下にある縁台にコロを着地させました。
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