恋の壁

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 良成はその場に腰を下ろし、背後の壁に体を預けた。  白い壁に後頭部をくっつけながら、彼は彼女に尋ねた。 「最近、キレイになった?」 「ええ、ヤダそんな……」  照れくさそうな声。  実際、彼女は目を伏せて恥ずかし気にしている。 「何ていうかな、艶めかしさが出てきたというのかな」 「何かエロいこと言ってます?」 「だって、こんなに魅力的な肌を見て、エロい気持ちにならない男なんている?」 「そんなの……知りません」  ちょっと起こったような口調。  唇を尖らせ、拗ねたような表情を見せる彼女が、良成はたまらなく可愛く思えた。掌でスッとなでると、くすぐったそうに身を捩る。 「く……くすぐったいです」 「ははは、ごめんごめん。でも、ほんとにキレイだよ」 「ありがとうございます。でも、私がキレイになったんだとしたら、それは良成さんのお陰ですよ」  彼女の言葉に、良成は少し微笑んで小さく首を左右に振った。
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