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「姥捨て山?」
「はい」
「ふふふ、はははははは。面白い事を言うもんだ。まったく、……ふざけるな!!」
「ふざけてなど居りません」
「この二十二世紀も間近に控えた現代において姥捨て山だと!?貴様、頭でもおかしくなったのか!」
「とんでもありません。私の頭脳は正常です」
「その考えのどこか異常でないと言うのだ!!」
「姥捨て山発祥の起源はわれわれの現状と同じです」
「何を言っているのだ?」
「姥捨て山とは、財政難に陥ったことにより養えなくなった老母を山に捨てに行くと言う経済政策の一種です。そして、この経済政策は昨今のわが国の事情と驚くほど適合しており、適切かつ合理的な処置であるよう思われます」
「ふん、狂気染みた絵空事を!たとえ数十世紀も昔では許されようとも、二十二世紀を目前に控えたこの時代において、そのような非人道的行為が許されるとでも本気で思っているのか?」
「考えてみてください大臣。姥捨て山が非人道的であると批判されるのだとすれば、それはすなわち、非人道的行為が行われたと世間に知られているからに他なりません。よって」
「ばれなければ支障はない、と?」
「そのとおりです」
「まさに夢物語だな。完全犯罪でも目論むのならば即刻、ここを辞めて推理作家にでも成るがいい」
「これは夢ではなく、月の話です大臣」
「月?」
「はい。そのための担当者並び専門家を連れてまいりました。さあ中へ―」
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