玄関開けたら……

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「だから、こんなおじさんで良ければ話を聞くよ」 「おじさんだなんて……! とっても格好いいです!」  リエは思わずそう口走ってしまい、また恥ずかしさで隠れたくなった。今夢が終われば逃げ出せるだろうか。だが、幸せな一時が終わってしまうのも惜しい。 「ありがとう。倍以上も歳の離れたお嬢さんに言われるなんて、ついその気になってしまうよ」 「お世辞が上手なんですね」  しかし、瞳吾は微笑む。  以前は実年齢よりも若く見られることがあったが、今はすっかりくたびれて年相応かそれ以上に見られてしまうことも出てきた。  彼がひどく良い気分にさせてくれるからこそ、リエの中で罪悪感のようなものが芽生えていく。 「俺は本気で言っているよ」 「倍以上だったら瞳吾さんは五十歳越えちゃいますって」  悪い気はしないが、リエはもう二十六だ。今目の前にいる男がそれほどの年齢だとは思えない。 「君もお世辞が上手だね」 「お世辞だなんて……!」  どういうことなのか、リエは混乱していた。  落ち着いてこそいるが、その若々しい顔立ちから瞳吾が五十歳を過ぎているようには見えないのだ。黒々とした髪は染めているわけでもないだろう。 「今年で五十三になるかな」 「えぇっ!? ……じゃあ、本当に倍……」  四十代前半かと思っていたのに予想以上のことにリエは驚きを隠せない。
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