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プロローグ
世界がゆっくりと回転していく――。
正確には俺の方がゆっくりと回りながら、今まさに落ちている最中で。
高校に入学して、早々に階段から落ちるなんて、ツイてないにもほどがある。
その不思議とスローモーションで過ぎ行く世界の中で、友達たちが俺の名前をとっさに読んでいるのがはっきりと聞き取ることができた。
その友達の一人が助けるために差し出した手も俺には届かず、これは少々の打ち身や怪我をしても仕方がないかもなと覚悟を決めて、体に力を入れ、ぐっと目を閉じた。
そして、次に目を開けた時、俺の、いや俺とあいつの関係と立ち位置は決まってしまっていた――。
これは魔女も毒リンゴも七人の小人も出てこない、シラユキ姫とオウジ様の物語――。
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