5. お見合い相手が豹変しました

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 その家族を人質にした柊平さんを、私は睨み付けて言った。 「いやだと言ったら?」 「……あなたはさっき、私と結婚前提で付き合うことを承諾しなかったかな?」 「だってさっきまでは……! さっきまで私は……柊平さんのこと……」  柊平さんの事を好きだと思っていた。  今は何が違うんだろう。  私は何に怒ってるの?  騙されてた事?演技していた事?  でも、手を繋いで一緒に散歩をしていた時、私は幸せだった。 「私は楓子ちゃんが好きだよ。本当に。どんな手段を使ってでも、手に入れたいと思うほど」  美麗な、真剣な顔で、柊平さんが言う。その言葉に、私は心臓がとまりそうなくらいにときめいていた。  悔しい。  私は柊平さんが好きだ。もう、好きになってしまった。 「……わかりました。私が言うことを聞けばいいんですよね? 父の会社には絶対何もしないで!」 「楓子ちゃん、怒ってる?」 「当たり前です。こんな……」  悔しくて泣けてきた。物凄く腹が立ってたから、泣くもんかと思いながら柊平さんを睨み続けて言った。 「……こんな脅しみたいなことしなくったって、私は柊平さんが好きなのに」  私がそう言うと、柊平さんの顔から余裕の笑みが消えた。  そして、次に柊平さんが見せたのは、真っ赤になって照れている表情だった。  か、可愛い……。  何だか私まで照れてきた。
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