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「ひ、ひとまわり違うじゃない!」
木島柊平さん、35歳、独身。
一橋大学を卒業後、日本銀行へ就職。上海事務所から帰国したその日に私に会ったらしい。それが約2ヶ月前。今月、日銀を退職し、父親の経営する会社・木島マテリアルの役員に就いたそう。
いや、ほんと記憶にないんですけど。こんなイケメン忘れるはずないのに。それとも目の前でみたら思い出すんだろうか。私がちょっとお見合いに興味を持ったのを見透かしたのか、ニコニコしながら母が言った。
「堅苦しいのがいやだったら、お茶だけでもどうですかって言われてるんだけど。どう?」
「どうって言われても……」
完全にイケメンに釣られている私が、はっきり断ることも出来ず言い淀んでいると、あれよあれよという間に、来週末に二人でお茶に行くことが決まってしまった。母親は「楓子ちゃん、今週末はママとお買い物に行きましょ。どんな服装がいいかしら? ワンピース? あんまりえっちなのはだめよ!」と浮かれていた。
その時は、その御曹司とやらが変態であることに、私が気づく由もなかった。
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