3008人が本棚に入れています
本棚に追加
「いえ、構いません……。それよりも、無理を言ってすみませんでした。ご存知の通り、私は今月から父の会社の役員に就任しました。それで、父が私に身を固めろとうるさくて。私には好きな人がいますと言ったら、なら連れてこいと言われてしまい……」
「好きな人?」
「はい。あなたです。榎本楓子さん」
目の前のイケメンは衒いもなくそう言い放った。そんな事、言われ慣れてない私の顔は真っ赤だろう。だって私は彼氏いない歴イコール年齢なのだから。
「私が勝手にあなたを好きになりました。だから、今度はあなたが、私を好きになってくれたらいいなと思っています」
穏やかに微笑む姿は仏像というより聖母だ。こんな人、周りが放っておかないだろうに、何故これまで結婚せずにいたのか。何故私なのか。そう思っていたら、オーダーしたものが運ばれてきたので、可愛いサンドイッチから頂いた。
美味しい~!
こんな場所、滅多にこないから雰囲気だけでお腹いっぱいだと思っていたのに、美味しくてついつい手が伸びてしまう。
「スコーンも美味しいですよ」
二個目のスコーンを手で割りながら私がそう言うと、木島さんが笑った。
「楓子さんは可愛いですね」
最初のコメントを投稿しよう!