2. お見合い相手は優しい人でした

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 約2ヶ月前といえば、残業続きで毎日フラフラだった。  デザインの仕事がしたくて大学を出たけれど、さして才能もない私は、なんとか雇ってくれた小さな会社で私なりに頑張っていた。  私の勤め先は、社員数が少ないのに明らかに業務量が多い。なのに残業代が出ない。 人間関係は良好だったが、サービス残業が当たり前の、いわゆるブラック企業だった。この業界はそれが当たり前だと言われて、そうなのかと一所懸命に働き続けていた。  ……そういえば、私は一度、新宿駅で倒れて救急車で運ばれたんだった。  仕事が忙しすぎて、熱があるのに気づいておらず、山手線のホームへ上がる階段の途中で気を失った。幸い他人を巻き込むことなく、怪我をしたのは自分ひとりだったのだけど、もしかしてその時に現場に居合わせたんだろうか? だとしたら、相当カッコ悪かったと思う。次にお会いしたら、聞いてみようかな。  そう考えながら、さっきまで一緒にいた木島さんの微笑みを思い出して、急に恥ずかしくなる。  いや本当に、癒される系のイケメンだったわ。空気清浄機だわ。ほんと。  そう思えば思うほど、何で私なんだろうかとの疑問が澱のように残った。
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