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地球は吹っ飛ばされた。巨大な隕石の衝突で、地球は粉々になって。慌ててシェルターに逃げ込んだ僕ら。そんなの無駄だろう、と思ったけど、案外丈夫だったようだ。
ただ、地球の破片に乗っているだけで。こんな所僕らが住むには適さない。食べ物もろくにない。シェルターの外にぼんやり見える空は、いつまでも暗い。
突然、誰かが言った。
「光が見える。」
「星だ。」
確かに、外に光が宿った。外に出たい衝動をぐっと抑え、僕らは外を見上げた。
「星が降る夜。」
誰かがまた言った。聞いたことがある表現だ。
「はは、」
僕は笑った。きっとそんな美しい状況ではないのだろう。不思議と怖くはない。むしろ綺麗だ、とても。すごく綺麗だ、星降る夜。
大きな光の塊、いや、火の塊が、こちらへやってくる。星が降る夜だ。
僕らはこんなに美しい景色を見られるんだ。なんで幸福なんだろう。星降る夜は、とても美しい。
嗚呼、人間よ、弱い人間よ。
お前らはこんなに美しい景色を見ることはできなかっただろう。この美しい、最高の、地球を破滅させる、星降る夜を見られたのは、お前たちが散々無下にした、この黒くちっぽけな僕らだけだ。
星降る夜。
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