其の一 つき子さんと初仕事

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 ガタガタと震えながら、沙夜はつき子さんの姿を探す。 「つき子さん!つーきー子ーさーんー!」  大声で呼びかけてもつき子さんからの反応はない。沙夜が来た道を戻ろうとするが、何故か足が地に縫いとめられたように動かない。 「なんで?」  沙夜は足を引っ張り上げようとするが、ぴたりと止まった足は全く動こうとしない。沙夜は諦めて橋を渡ることにした。前を向くと今まで全く動かなかった足が素直に動き出す。 「何なのよ、コレ……」  1人文句を言う沙夜は前を向いて橋を渡り切った。橋を渡り切ったところでぐにゃりと周囲の景色がゆがみ、沙夜は反射的に来た道を振り返っていた。 「あっ!つき子さん!」  渡り切った一条戻橋の橋の向こう側にぼーっと立っているつき子さんの姿を認めた沙夜は再び橋を渡り、つき子さんの元へと駆け寄った。先ほどのように橋の途中で足が止まることもなく、つき子さんの傍へとたどり着く。 「もう、つき子さん、どこに行っていたの?」 「沙夜、あれ……」  傍にいなかったつき子さんへ少し不満げに声をかける沙夜に、つき子さんは目の前を指さして呆然と口を開く。沙夜はそんなつき子さんの様子につられて、つき子さんが指さす方を見ると、あんぐりと口を大きく開けた。
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