其の一 つき子さんと初仕事

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 目的のバス停に到着した沙夜とつき子さんは、スマホのメールボックスに入っている取材先の町屋カフェを巡り、午前中と同じ要領で取材を行っていく。数軒の取材を終えた頃、時刻は間もなく夕刻に差し掛かろうとしていた。沙夜は順調にアポイントを取っていた取材先の取材を終え、京都で行うスケジュールを全て終えている。  そのまま地下鉄に乗って京都駅に戻っても良かったのだが、 「ねぇ、つき子さん。取材も無事に終わって時間も余ったことだし、この辺を少し観光しよっか」  そう言ってスマホを取り出した沙夜は、近くの観光地を検索する。 「やっぱり、ここまで来たのなら御所は見ておきたいよね」  現代の京都の地図を見ながら、沙夜は近くにある御所を目指して歩き始めた。しばらく歩いていると同志社大学の向かいにある今出川御門(いまでがわごもん)が見え始めた。沙夜はその今出川御門の前に立つと軽く首を傾げる。 「あれ?おっかしいなぁ?」  そう言って自分のしている腕時計を見やる。そして正面にある御門を再び見上げて首を傾げた。 「どうしたんですか?沙夜」 「ん?なんかこれ、門、閉まってるよね?」  沙夜に言われたつき子さんが御門に目をやると、確かにそこには壁のような扉が閉まっていた。 「閉まっていますね」 「おかしいなぁ。まだ開門していてもいい時間なのに」  沙夜は納得がいかない様子だ。
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