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その後も、パパは帰ってこない日がちょくちょくあった。ママはどこかボーっとしていることが増えた。
嫌な空気を感じながらも、なんでもないような顔を私はしていた。
「サツキ、誕生日プレゼント、何がいい?」
パパにそう言われたとき、二人に仲良しくしてほしいって言いたかった。言えないけど。
「考えとく」
曖昧に笑う。
そう、誕生日がくる。私の、誕生日が。
ああ、嫌だな。来なければいいのに。生まれて初めて、誕生日が嫌だなと思った。
だって、誕生日のお祝いは、パパにとってママがママじゃないって突き付けられる出来事らしいから。お祝いしなくていいよって言えばいいのかな。でも、そんなの不自然だもんな。
私にできるのは、ママが座っていないことを気にしないよって伝えること。ご飯の時、今まで以上にママに話しかける。それぐらいしか、できない。
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