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ゴーン、ゴーン。
授業の始まりを知らせる重厚な鐘の音が
学内に鳴り響く。
「じゃ、俺達は行くな。
モニターはそこに、セッティングも済だ」
「ああ~~ん、ボクも此処で
会長と一緒に授業受けた~~~い!」
柊木はマホガニーの執務机に
しがみつき部屋を出たくないと騒ぎ出した。
「お前、毎朝それをやらないと
この部屋を出れないのか?
プログラムは紅螺蒔専用に
セッティングされてる。
ったく、二年の授業も理解できもしないくせに
残る意味ないだろ」
「頑張れば分かるかも
しれないじゃないですかぁ!」
そんな虚勢も竜胆から
前期テストで平均40点の弱い頭で夢見てんな、と
小突かれウウッと項垂れてしまった。
此処まではいつもルーティンなので
微笑ましく二人の会話を眺めていた。
「でも~~~」
と、尚も柊木が言い出した時、
ほんの僅かに竜胆の顔つきが変わった。
「お前、まさか」
それに気付いた柊木は慌てて立ち上がった。
「ち、違います!!
違いますよ、ちゃんとボクは!
信じてくださいっ!」
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