生徒会長誕生

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生徒会長誕生

“ずっと…………と、思ってた” 「や……め、っ」 “今更……ろ……” 「んぁ……は……あ」 お前は、誰――だ? “ホラ、もっと足を開いて誘えよ” 「もうすぐ十六時か。 結局対抗馬なしで、不戦勝で続投、 ま、予想はしてたけどな」 半年に一度の生徒会長選、僕は推薦という形で 立候補したが届け出をした途端、 先に届け出を出した三年の先輩達は相次いで その願いを取り下げてしまった。 期限が今日までとなっている現時点に置いて 他に立候補が出てない今、 どうやら続投が濃厚となったようだ。 「先輩方は受験で忙しいんだろ、 別に僕の出馬など関係ない」 そんな僕の言葉に、 「謙遜しなくて良いじゃないか、 紛れもない事実なんだし。 此処での受験生なんか名ばかりで 殆ど意味をなさないだろ」 案の定、冷めた言葉が返ってきた。 「ていうか、紅螺蒔(こうらじ)先輩以外に 生徒会会長は有り得ないです! 立候補したとこで引き立て役しか なりませんしね!」 そこに割って入ってきたのは、 憎めない可愛い後輩こと 現会計の柊木 鈴(ひいらぎ すず)、一年生。 小柄でユニセックスな風貌から 男子校におけるマスコット的存在のようだ。 底抜けに明るく嫌味のない性格に 周りにはいつも人が絶えない。 彼の入学時に答辞の面倒を見たのをきっかけに すっかり懐いてくれて先輩が会長をするなら 是非、誘って下さいと自ら会計を志願し サポートをしてくれている。 「じゃ、お前が出馬したらどうだ?副会長」
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