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生徒会と彼
コンコン。
「私です」
「……どうぞ」
昼休みになって一番最初にこの扉を
開けて入ってきたのは、柊木でもなく
竜胆でもなく禅図。
それはいつものことで。
「お食事を持ってまいりました」
「いつもすまない」
「いえ」
食器を並べ淡々と僕の食事の
準備をしているその姿を無意識に追っていた。
「何か?」
「あ……いや、手伝おうかと」
「そのまま座っていて下さい。
すぐに用意致しますので」
そう言う意味ではと、言いかけた口をつぐんだ。
無駄、だからだ。
前に同じようなことを言って
制された記憶を思い出す。
禅図 哉芽。
僕と同級生の二年、
執務室の出入りは許されているが
実際は生徒会役員ではなく
単なる一般生徒。
あくまでも表向きは。
だが……彼には別の顔がある。
それは我が紅螺蒔家に仕え、
僕専属の執事としての顔だ。
一緒の屋敷に住み、
身の回りの世話一切を禅図が
取り仕切っており、家でもそうであるように
こうやって学校での世話までも
彼がやってくれている。
……流石に同じ学生として
何も学校までもと何度か言ったのだが、
彼は聞き入れてくれなかった。
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