生徒会長誕生

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「どうだった?反応は」 「何処に行っても声を掛けられる」 ウンザリ気味に本音を吐露すると、 「当然だろ、皆お前に話かけたくって 仕方ないんだから。 下級生なんか普段おいそれとお前に 近づけないからな、この機にって思うだろうさ」 「会長~~~~!!!!!」 能天気な大声で叫んでる柊木を見て、 ああアレは別だがなと言い直した。 「紅螺蒔会長! 正式に発表されましたね! 一年の間でも大騒ぎで、ボク鼻が高いです!!」 「紅螺蒔の当選とお前の鼻は関係ないだろ」 冷ややかな声に僅かにたじろいだが、 そこは柊木、すぐに持ち直して、 「だってボクの大好きな先輩なんですから 自慢じゃないですか!!」 「ハァ……」 答えになっていないと 竜胆は呆れて溜息を付いた。 “生徒会長” 恐らく通常の学校では それなりの価値があるのかもしれないが、 この学園では所詮お飾り。 親や親族が会社経営、莫大な不動産所持、 政治家、役員等々の子息達にとって 将来に関わるような重大なモノでない。 単なるオマケ程度のお遊びだ。 僕も例外でなく一般生徒でいれるならそうでありたい。 それが叶うなら此処でなくどこの学校であろうと ……寧ろ、その方がどんなに良いか。 だが…………決して叶わぬ夢。 だからこそ、会長になる意味がある。 なりたくないのに ならざるえなかったその意味が。 ――その特権がどうしても必要だった。
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