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催涙雨
満天の星の下に誰かの黒いシルエットがある。
近いようで遠いその人はどうやら男性のようだ。
じっとしていた星達は彼を目がけて降り注いだ。それは土砂降りの雨のようで、たくさんの涙が落ちていくようで、幻想的な美しさだった。
彼は両手で顔を覆い尽くして泣いているらしい。
底なしの悲しみが伝わってくる。そばに寄り添ってそっと傘をさしてあげたくなった。
星が降る夜、独りで泣いている彼のことを私は知っている。
どうか、どうか泣かないで。
そして、願うならば私達のことを忘れないで。
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