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決心
「お袋、海じゃなくて空を見たかったんだ」
「なら何で海に?」
「星空を見たくて、何の光の邪魔も無い星空を見たくてね」
美智代は勇斗が何を話し出すか待っていた。
少しの沈黙の時間で覚悟を決めていた。
何を言い出しても冷静に、出来れば受け止めてあげようと決めていた。
「俺、3年間働いて来てずっと考えていたんだ。今迄お袋に苦労はかけまい、心配かけまいとやって来た、でもごめん一度だけやりたい事を思いっきりやらせてくれないか?」
「やりたい事って何?」
「俺、お笑い芸人になりたい、だから養成所に行かせてくれ」
「えっ?」
美智代は沈黙の時間である程度の予想はしていた。勇斗が考える事位予想はつくと思っていた。だがあまりにも想定外の言葉に返す言葉が出て来なかった。
確かに小さい頃からキリッキリの生活で余裕が無くても、いつも明るく人を笑わせ、そんな勇斗の回りにはいつも友達が集まっていた。
高校を出て地元の醤油メーカーに勤め何の美智代は黙っていたた。
でもそんな夢があったなんて思いもしなかった。
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