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帰りの車の中、運転をしながら勇斗は声を弾ませ、今まで調べて来た養成所の話しを美智代に話した。
4月になった。
「じゃあ!行ってくる!」
話をしてからあっと言う間に勇斗は家を出て行った。
千葉と言っても東京からは離れた九十九里町、通うには遠いからの一人暮らしで時間があれば直ぐに帰れる距離。美智代もそんなに寂しくはなかった。
勇斗が出て行く時、美智代はひとつだけ言った事があった。
「今更当たり前の事だけど挨拶だけは何があってもちゃんとしなさい」
「わかってるよ、21年間それだけ言いつづけられてるんだから」と憎まれ口を叩いて出て行った。
「いつでも帰っておいで、あんたの好きな鰯の丸干し焼いてやるから」
美智代は送り出した。
勇斗の新たな生活、戦いの日々の始まりだった。
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