01 僕の生きる意味

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2012年06月06日 目覚めると無性に背中が暖かかった。 振り返ると美穂が、俺のベッドで眠っていた。 目には、涙の後があった。 「いつの間に、忍び込んだんだろ……」 俺は、美穂を起こさないようにベッドを降りた。 「どこに行くの?」 美穂が眠そうに言った。 起こしてしまったか…… 「トイレだよ」 「私も行く……」 「面会時間外なのに、よく入れたな……」 「きちんと許可を貰ったよ。  これから、毎晩来るね」 美穂は、そう言うと俺の手をぎゅっと握った。 美穂、キャラ変わったな…… 前までの美穂なら、俺の手なんて握るなんてことしなかったのに…… 俺たちは、手を繋いだままトイレに向かった。 朝だから人は少ない。 それでも、なんか恥ずかしかった。 「じゃ、行ってくる」 俺は、美穂の手の手を離して男子トイレの中に入った。 「朝から、ラブラブですね」 知らないおじさんに声を掛けられた。 「ほっといて下さい」 俺が、そう言うと知らないおじさんは、口を尖らせた。 「はいはい。  モテないおじさんは、すぐに立ち去りますよー」 そして、おじさんはトイレから出て行った。 用を足した後、美穂と別れた場所に向かうとそこには、美穂はいなかった。 美穂もトイレかな…… 「待つか……」 俺は、そう思うと暫くぼーっと待った。 美穂は、すぐに戻ってきた。 「待っていてくれたの?」 美穂は、俺の姿を見つけると小走りで近づいてきた。 「置いていくわけないだろ」 そんなことをしたら、後が怖いし。 「私を置いて逝こうとしたのに……」 「それ、なかなかのブラックジョークだな」 美穂は、ため息をつくと俺の手を握り締めた。 ジョークじゃなかったのかな?
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