血のつながらない母

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血のつながらない母

 一方の母は、若かった。エリリカの産みの親が死んでからの再婚だ。    だから、エリリカと血がつながっているわけではない。 「大学生だったの、先生に会った時」  母は、なぜか今でも絵里夫の事を「先生」と呼ぶ。  エリリカは、一度も母が父のことを「お父さん」とか、「パパ」と呼ぶことを聞いたことがない。  遠慮してのことだろうか。  それとも、学者の家では、それが普通だということなのだろうか。  エリリカは、あえて、気にしないことにしていた。
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