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目に映る世界
星というのを見たことはありますか──。
あなたが見ている夜空には、どのくらいの星が輝いているのですか。
私にとって、夜空は何時も真っ暗です。
『色覚異常』
中学生の頃、それも特殊な例だと告げられました。黒い背景に囲まれた色は、私には見えないのです。
これだけだとわかりづらいですね。もっと分かりやすく説明すると、例えば黒い生地で作られた服があるとします。その黒い服に文字や絵が描かれていたとしても、私にはただの黒い服にしか見えません。
夜の街でも、何も見えなかったりすることがあります。
小学校の頃はまだその認識がなく、それが普通なのだと思っていました。
「夜空ってつまらないね。何時も真っ暗。何もない」
中学生の頃に、母親にそう言ったことが真実を知ってしまうきっかけでした。中学生の私はいきなりということもあり、気にはしませんでした。しかし、高校・大学と進んでいくうちに『人との違い』が辛いものであることを感じ、泣いてしまうこともありました。
黒という色は確かに何もかも飲み込む強い色。私の見る世界では黒が存在する限りすべてそれに飲み込まれてしまうのです。
高校時代の出来事です。
そんな私に、大切な人が言いました。
「いつか、たくさんの星が降る空を一緒に見たいね」
その言葉は何時までも私の心に残っています。
だからこそ、決断をしました。
「よろしくお願いします」
私は大学生となると同時に、とあるサークルに加入しました。
『天文・写真サークル』
どちらも人があまりいないということで1つになったサークル。天体観測をしたり、その写真を撮ったり、夜景やそれ以外にも、主に写真を中心として活動しているサークル。
ここに入れば私は何か自分が変わると思ったのです。天体観測、夜景……それは私の見たことがない、見ることのできない領域。
手が届くようになると信じて──。
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