目に映る世界

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黒に飲み込まれてしまう私の見ている世界。 『星』と言うものを言葉だけで説明しなさいと言われた場合どう説明すれば良いでしょうか。 当然、写真でも見ることができない私は、言葉の説明だけで『星』を理解する。 「星か……、言葉ってなかなかめんどくさいな」 「形は?」 「丸いな。でも星空を見上げるとそうでないように見える」 「どういうこと?」 「はっきり丸かったり、そうでなかったり、また動いているものもある。それが流れ星」 そんな会話をしたことが過去にあった。 大切なその人は、星が見えないなんておとぎ話のような私の色覚異常に対して理解してくれた。 「不思議だと感じると思うよ。輝く星ひとつひとつが生きてるかのように光が強くなったり弱くなったり……。流れ星は見られればラッキー」 「不思議ね……ほんとかな。そう思うのは君だけじゃない?」 「あ~~、そうかもしれない。不思議に思わない人もいるだろうね」 星空が広がる光景が、当たり前といつの間にか感じてしまっている人が多いと話した。 場所によっては多く輝いていたり、そうでなかったり……と、説明されればされるほど謎は増える。 「ん……とても分かりやすい例えをすると真っ暗な世界に小さくなった太陽が無数に広がっているとか?」 「なにそれ。昼間の太陽は見えるけど……太陽が無数に広がってるってそれめちゃくちゃに明るいんじゃ……」 「例えるのが難しいな……」 「だんだんめんどくさくなってるでしょ」 写真が駄目ならと、ある時には学校先生の説明で絵に描かれたこともあったがそれは白い背景に黒い点の数々。 イメージしやすそうで、しにくい。白い背景という時点で問題なのだ。
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