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「…………」
真っ暗な世界。
黒黒黒黒黒黒黒黒―。
どこが前でどこが後ろかもわからない世界に立たされる。
下を向いているのだろうが、足らしきものは見えない。意識では目の前に自分の両手があるはずなのに黒しか見えない。
試しに手を叩いてみる。
音は広がり私の耳に届くし、手のひら同士がぶつかった感覚もあった。
ふと、何を思ったのか自分でもわからないが、上を見る。
「星というのは、この黒い空間に点がいくつも広がっているのかな」
強く、強くイメージする。目を閉じても開けていても真っ暗な空間で。
この真っ暗な空間に赤や青、白、黄色という光るものが広がっていることを。
「見せて、見せて……。この何もない空間に輝く姿を私に……」
今なら見えそうだと思う。
1つ2つと光り輝くものが顔を覗かせると……。
次の瞬間。
「あ………………」
目の前に広がってきたのは光り輝く星ではなく。
自身の部屋という見慣れた空間だった。
「夢に見ることくらいいいじゃない……。まぁ本物を見たことないから見れても星じゃないか」
星空を知らない私がイメージできるのはあくまで黒い空間に広がる点の集まり。
動きもしなければ、光の強さも皆同じ。
ただ、奇跡は起こるという言葉を信じて今日もサークルに参加するのだった。
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