ボクとカイブツ

なんで？

「お前、今日もいいドリブルだったな。てか、なんか調子よくね？」

「うちの金魚が可愛いんだよ。去年、りんご飴買うだけの為に祭りに行ったんだ。たまたま通りかかった金魚釣りで、見かけたんだ。弱ってるけど、頑張って生きてる。そんな姿に惹かれてつい」

「お前、なんていうかさ。どこからつっこめばいいんだよそれ。」

「つっこまれるところなかったと思うが」

「あほか。一人で？去年のその頃、彼女いただろが。てか、りんご飴って子供か。可愛いかよ。」

「ロリコンうるせぇ。家ついたしまたな。」

「おう。」

カイブツ(人間)は、この数分後、絶望に浸った。

なにせ、大切に大事にしていた金魚が、水槽から飛び出して乾いて死んでいたのだから。