4月 桜舞う☆心ときめく出逢いの季節 美波&要

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 穂積高志(ホヅミタカシ)  ボーっとしていたせいで、ドアが開いた音に飛び上がりそうになった。 「あっ、ルームメイトの久喜美波君っ?」  背が高くて筋肉質の彼が勢い良くソファーまで来て僕の側に立った。 「あ、うん」  僕は慌てて立ち上がった。  仲良くなりたいとも思わないけど、衝突やトラブルは避けて上手くやりたい。 「俺、穂積高志、これからよろしくなっ」  穂積君は、眩いばかりの笑顔で僕を見下ろしている。  何がそんなに嬉しいのか、目尻をぐんと下げて綺麗に口角を上げて白い歯を覗かせて。  家族以外の誰かに笑顔を向けられたのは、随分前のことで、どうしていいか分からずに困ってしまう。 「背、高いね」  何か言った方がいいかと思って、そう言った。実際175cmの僕が見上げる程に背が高い。 「そっかなー、ま、よろしくなっ、美波って呼んでいい? 俺は高志でいーし」 「あ、うん」 「じゃ、よろしく」  高志はにかにか笑いながら手を差し出してくる。  その手の意味がようやく分かってためらいがちに手を上げると、遠慮無くぎゅっと強く握られた。その手をぶんぶんと上下に振りながら笑っている高志。 「俺、寮とか初めてだし、いろいろ教えてくれよなっ」 「あ、うん」  なるべく関わらないつもりだったけど。  どうやらそうもいかないらしい。高志は終始にこにこと僕に笑いかけていて、関わりたくない、だなんて言えない雰囲気だし。  実際、そうやって一気に距離を詰められているのに、なせか悪い気分じゃなくて。  不思議だけど。
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