第三章 ~淫靡な快楽に溺れて~

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 夕食の時間まで与えられた部屋で一人で過ごしていたが、なぜかヘルムートのことばかり考えていた。  少しでも気を紛らわそうと、図書室から悪魔事典なる書物を持ってきて読み始めたのだが、先程から全く内容が頭に入ってこなかった。  ヘルムートと距離を置きたかったから、大人げない真似をしてまで逃げてきたというのに、これでは全く意味がない。  ――やはり祖母やクリスタの言う通り、あの男に恋をしている証拠なのだろうか?  だから強引に抱かれるような目に遭っても、ヘルムートを憎むどころか心を動かされてしまうのかもしれない。  触れられるのが怖いと思う一方で、昨夜のような愛撫をつい期待してしまう自分がいる。  魔族に力を借りることはあっても、決して心を許すようなことはあってはならない――ずっとそう強く言い聞かせてきたが、完全に水の泡となってしまった。 (私は何て愚かな魔女なのかしら……)  高い魔力を有していたせいで油断して、心に隙が生じていたのかもしれない。  これ以上、ヘルムートに絆されるまいと、夕食時は彼と極力口を利かないように努めた。  そして食べ終えるとすぐに部屋へ戻り、今夜は抱かれる前に早めに寝るのだと決意する。  部屋の扉にはしっかり鍵をかけ、更に魔法で防壁も作って完全に入ってこられないようにした。  ――これだけ頑丈に守りを固めておけば、さすがのあの男も諦めるだろう。  だが、湯浴みを終えて寝室へと続く扉を開けると、ヘルムートが余裕の表情で椅子に座っていたのである。 「どうして……?」  あれだけしっかり施錠しておいたのに、よもやあっさり破られるとは思わなかった。  呆然と立ち尽くすロザリアを見て、ヘルムートは呆れた様子で苦笑いした。 「ここは俺の城だぜ。お前が中から鍵をかけようが、魔法壁を作ろうが簡単に突破できるのは当然だろう」 「そんな……」  どれだけ魔力が高くとも、ヘルムートには勝てないのだと思い知らされ、ロザリアは絶望に打ちひしがれたような気分になる。  そんなロザリアの心情などよそに、彼は口の端を吊り上げてこちらへ歩み寄ってくる。  何か恐ろしいことでもされるのではと、すかさず身構えるもただ優しく抱きしめられただけだった。  たったそれだけのことなのに、ロザリアの心は甘くときめいてしまう。 「夕飯の時もそうだったが、何でそんなに俺を避けようとするんだ? 傷ついちまうだろう」  もの悲しげな声音でささやかれ、ロザリアの中に罪悪感が芽生えて、「ごめんなさい……」と謝罪する。 「いいや、駄目だ。今夜も抱くと約束したのに、お前は俺を閉め出そうとしたんだ。だから今夜は俺の痕跡をたっぷり刻みつけてやる」  ヘルムートは嗜虐心を滲ませた笑みを向けると、間髪を容れずに唇を重ねてくる。 「ふ……ぅ……」  柔らかく甘噛みされたかと思うと、角度を変えて何度も口づけられた。  甘く濃厚な口づけに、ロザリアはすっかり虜になっていき、自らもたどたどしく舌を動かした。  ロザリアがキスに応えてくれたのが嬉しかったのか、ヘルムートは彼女の美しい体のラインをなぞるように撫で回していく。 「んっ……んん……」  触れられているうちに感度が上がり、体の奥に燻る官能の熱が呼び覚まされていった。 (あぁ、駄目……。また溺れてしまう……)  ロザリアはわずかに残った理性で抗おうとするも、気付いた時にはすでにバスローブを脱がされていた。  それから昨晩と同じように、ベッドの上に優しく押し倒される。  その刹那、深紅の瞳とばっちり目が合い、ひどく落ち着かない気分になる。  ――なぜこうして見つめられるだけで、こんなにも胸がざわめくのだろうか。  ロザリアが動揺する中、ヘルムートは何もない空間に向かって右手をかざす。  すると次の瞬間、そこにもう一人の彼が出現したのだった。 「え? あなたが二人……?」 「俺の魔力で作り出した分身だ。同時に攻撃を仕掛けたり身代わりに使ったりと、用途は色々あるが今夜はお前をイカせるために使う」  言うが早いかヘルムートは、分身と共に二つの膨らみを揉みしだいていく。 「あ、あぁ……」  まるで二人の男から、同時に弄ばれているような気分だ。  ロザリアは容赦ない背徳感に襲われるが、乳房を揉む手つきが心地良くすぐに薄れていき、代わりに甘い快感が込み上げてくる。  ヘルムートは豊満な胸を捏ね回す傍ら、時折ロザリアの肌にチュッと優しく口づけてきた。  傲慢な性格のヘルムートのものは思えないほど、柔らかく尊い口づけなのでやや面喰ってしまう。  こちらを大切に扱おうとしてくれるのか、それとも戸惑う姿を見て愉しんでいるのか――ロザリアは全く真意が読めずやきもきするばかりである。 「早くも乳首が勃ってきたな。こうやって、同時にされるのも気に入ったのか?」  二人のヘルムートはからかうように、硬くしこり始めた頂を転がし始めた。 「は……あ……ん……」  焦らすような動きでじっくり弄られ、ロザリアの口からあえかな嬌声が漏れる。  優しく触れられている乳首はますます硬くなり、ジンと甘く痺れて下腹部へと快感をもたらした。  ロザリアが陶然とした面持ちで愛撫に感じ入っていると、ヘルムートも魅惑的な微笑を浮かべる。  本物の彼も分身の彼も、共にこちらを魅了する笑顔を向けるものだから、ロザリアはたちまち頬を赤らめて見惚れてしまう。 「お前がこうして感じてくれると、俺まで嬉しくなってくる……。同時に、もっともっと感じさせてやりたくなる……」  ヘルムートの低く艶のある声音が、ロザリアの耳に心地良く響き渡り、同時に全身の性感帯を刺激する。まるでこちらを快楽へ堕とす甘美な媚薬のようだ。  頬を上気させるロザリアを見て、ヘルムートは一段とそそられたようで、ほうっと熱っぽいため息をつく。 「あぁ、お前のその顔がたまらない……」  彼は胸元に再びキスを落としたのち、弄うように乳頭を責め立てていった。 「や……あぁ……っ」  淫靡な指戯によって、小さな突起が鋭敏になるにつれて、ロザリアの体はビクンと何度も戦慄いた。  そんな彼女の反応を更に引き出すように、ヘルムートの指の動きも少しずつ激しくなっていく。 「あ……っ、あぁ……!」  指の腹でクリクリと引っ張られたかと思うと、小さな弧を描くように優しく転がされる。  その巧妙な動きがこの上なく気持ちよくて、ロザリアの身も心もあっという間に快楽へと飲み込まれるのだった。  指先でたっぷりと刺激を受けた乳首は、完全に硬起して熟れた苺のように膨らんでいた。  赤く実った先端を、ヘルムートは妖艶な微笑みで見つめたのち、濡れた舌でそっと一撫でする。 「ひゃ――ッ!」  左右の乳頭を同時に舐られた瞬間、ロザリアは甲高い嬌声を上げてビクンと跳ね上がる。 (これじゃあ、まるで両方舐められて、悦んでいるみたいじゃないの……!)  淫靡な愛撫でどんどんふしだらになる自分が、この上なく恨めしくてたまらない。  羞恥心のあまりうろたえるロザリアをからかうように、ヘルムートは間髪を容れずに何度も乳輪に舌を這わせていく。 「あんっ! あっ、あ、あぁ……!」  チロチロとくすぐるように舐められ、胸の先端から下肢の中心にかけて甘い快感が駆け抜ける。  濡れた舌で乳首を同時に責められるのが気持ちよく、ロザリアははしたないと思いつつも堪え切れずに歓喜の声を上げた。  不意に、右の尖端を舐っていたヘルムートが、乳輪ごと口に含んで柔らかく吸いついてくる。 「あっ、あぁ……ん……」  左右の乳頭に異なる刺激を与えられ、ロザリアは頬を上気させて淫靡な艶声で鳴いた。  何度も身震いして快感に喘ぐ彼女に、ヘルムートはますますそそられた様子で口淫を続ける。 「ひ、あぁぁッ!」  乳輪を撫でる舌の感触が気持ちよくてたまらない。  二人のヘルムートに乳首を吸われるという異様な状況にも、この上ない快楽を覚えて体が熱く疼いてしまう。  すっかり悦に入った彼は、分身と交互に甘噛みと舌戯を繰り返していく。 「あ……ああぁッ……!」  片方では甘噛みされ、もう片方では柔らかく吸われて、ロザリアは更に甲高い声で鳴いて身を捩る。 「や……ぁ……ん……。もう……そんなに……しないで……」  ――このまま二つの乳嘴を舐られ続けていたら、全てが官能の坩堝に呑み込まれてしまう。  一刻も早く淫らな舌戯から逃れようと、ロザリアはあえかな声で懇願した。  するとヘルムートは意外にも、あっさり行為をやめてくれた。  聞き入れてもらえて安堵する一方で、虚しさに似た感情が心の中で渦巻いているのに気付く。 (嘘、私……まだ求めているの……?)  そんな筈はないと言い聞かせたいのに、否定できない自分もいた。  動揺を隠せないロザリアに、ヘルムートは意味深な笑みを向ける。 「それがお前の本当の望みなのか?」  まるでこちらの心情を見抜いているような問いかけだった。  ロザリアが答えられずにいると、ヘルムートはおもむろに彼女の腹部や鼠径部を撫でていく。 「あ……あぁ……」  その刹那、全身がざわざわと粟立つと同時に、体の芯が再び熱く疼き始めた。  やがて長い指先は秘花へとたどり着き、硬く閉ざされた割れ目を優しくなぞり上げる。 「あぁぁッ!」  背筋に甘美な痺れが迸ったかと思うと、雌唇は触れられた悦びに打ち震えるように戦慄いた。 「ここが物欲しげに動いている。もっと俺に触れてほしい証拠だ」  ヘルムートは喜悦の笑みをたたえると、ロザリアの両脚を開かせて秘花を暴く。 「ここをこんなにいやらしく濡らして。俺達二人に乳首を吸われたのが、よっぽど気持ちよかったみたいだな」 「いや……やめて……」  恥ずかしい部分をじっと眺められ、更にはその状態まで言葉にされたことで、ロザリアの羞恥心は一気に上昇する。  不意に、ヘルムートの分身が背後に回り込み、ロザリアの半身を起こして抱きしめてくる。 「え? ちょっと、何するの?」 「まあ、すぐにわかる」  もったいぶった口調で告げると、ヘルムートは花唇を弄り始めた。 「は……ああぁ……」  ほんのわずかに触れられただけで、全身がゾクゾクするような甘い快感が湧き上がり、蜜口から早くも官能の滴りが溢れてくる。  ロザリアが甘切なく喘いで身悶えると、背後にいるヘルムートの分身がからかうように小さく笑う。 「体はしっかり感じているじゃないか」 「え? 嘘……」  よもや分身も喋れるとは思わず、ロザリアは驚きを露わにして大きく目を見開く。  驚愕の表情を浮かべる彼女を見て、ヘルムートは可笑しそうに笑った。 「何だ? 分身の俺が喋ったの、そんなに意外だったか? あと、こういうこともできるんだぜ」  言い終えると同時に彼は、たわわな実りを掬い上げるようにして揉み始めた。  それとほぼ同じタイミングで、向かいにいるヘルムートも花唇への愛撫を再開する。 「あんっ! あっ、あ、あぁぁ――ッ!」  胸を弄られながら恥裂も掻き乱され、全身の疼きが一段と増して快感に戦慄く。 「昨夜、初めて抱いたというのに早くもここまで感じるとは、お前の体は素直でいい子だ。心の方も、これぐらい俺を求めてくれていると嬉しいんだけどな」  ヘルムートは陶然と微笑むと、上端にある花芽を愛でるようにそっと撫でた。 「はぁぁぁん!」  ロザリアが歓喜の悲鳴を上げて身悶えると、下肢の中心がヒクヒクと震えて新たな蜜が溢れ出す。指先で優しく転がされている突起も、小刻みに脈打って膨らみを増していた。  赤く充血した雌核を見て、ヘルムートは感極まった様子でため息をつく。 「俺の指先に転がされて膨らむクリトリスも、豊満な胸の先端で恥ずかしげに色づく乳首も、何もかも愛しくてたまらない……」  恥ずかしい部分をうっとりと褒められ、ロザリアは羞恥心のあまり頬を真っ赤にする。  しかしその一方で、見られることに対して快感を覚え、一段と劣情を掻き立てられていく。  その刹那、ヘルムートの深紅の瞳に獰猛な欲望が宿る。  射抜くような彼のその眼差しに、ロザリアの体の疼きは増して心もひどくざわめくのだった。 「ロザリア、お前が乱れて淫欲に溺れる姿、もっと俺に見せろ……」  ヘルムートは詠うようにつぶやいたのち、乳首と肉芽を指の腹でクリクリと撫で回す。 「あ、あぁッ! いやぁ……!」  なぶられている場所がジンと疼き、甘い愉悦が全身を迸る。  淫靡な刺激を受けて、三つの愛らしい突起は更に濃く色づき、ますます膨らんで敏感になっていった。 「あぁ、すごく綺麗だ……。クリトリスなんかは蜜に濡れて、本物の真珠よりも艶めいている……」  ヘルムートは恍惚とした表情で、花蜜を塗るように指先を擦りつけていく。 「は……あぁ……」  たっぷり濡れているせいで淫芽は滑らかに転がり、微弱電流のような快楽が絶え間なく押し寄せてくる。 (あぁ、もう……抑えられない……)  官能の坩堝に嵌まるロザリアを翻弄するように、ヘルムートは強弱をつけて花芽を責め立てていった。 「ンンッ……! あぁぁッ!」  ロザリアは目に涙を浮かべながら、幾度となく下肢を痙攣させて快感に喘ぐ。  体は達きたくてたまらないのに、ヘルムートは焦らすような動きで鋭敏な尖りを弄り続ける。  そのせいで尿意に似た疼きは強まり、同時にもどかしさも募るばかりだった。 「すごいな、次から次へとたくさん滴らせて……」  目の前の淫猥な光景に、ヘルムートは更に劣情を掻き立てられたようで、双眸を獰猛にぎらつかせて舌なめずりする。  その直後、彼は秘花に顔を近づけて舐り始めた。 「あぁぁぁ――ッ!」  鮮烈な快感が全身を駆け巡り、ロザリアは身を捩って口淫から逃れようとする。  だが、背後からヘルムートの分身に抱きしめられている上、本物の彼も逃がさないとばかりに執拗に迫ってくる。 「あっ、あぁぁ……いやぁ……ッ……!」  柔らかい舌が這うたびに、花唇全体が淫らにヒクついて愛蜜が止め処なく溢れる。また、背後から豊満な乳房を揉みしだかれては、乳首も引っ張られて翻弄される有様だった。 「お前の蜜、とても甘いな……」  溢れる淫蜜をすすりながら、ヘルムートは熱っぽい吐息を漏らす。 「は……あぁ……」  淫処に息を吹きかけられただけでも刺激になり、ロザリアは悩ましげに喘いで身震いする。その弾みでたわわな実りも揺れて、ヘルムートの情欲を一段と焚きつける形となった。 「いい反応だな。もっと乱してやりたくなる……」  ヘルムートは嗜虐的な笑みを見せると、熟れた淫襞や花芽を丹念に舐っていった。 「あっ、はぁ……あぁぁ――ッ!」  突き抜けるような絶頂感に襲われ、ロザリアは喜悦の面持ちで全身を引き攣らせた。  ――このまま淫らな行為を続けられたら、理性は完全に崩壊してしまうに違いない。  しかし、ヘルムートの舌遣いは的確に快楽を引き出しているため、ロザリアは拒否することができずにいる。 (これ以上、彼に溺れたくないのに……どうして……?)  ますます心が揺れるロザリアを嘲笑うように、体は歓喜に戦慄き雌核も淫らに脈打つ。 「クリトリスがますますヒクついている。こうやって俺に舐められるのも気に入ったのか?」  ヘルムートは嬉々とした声音で告げたのち、過敏になった肉芽を執拗に舐っていく。 「あぁっ……ああん……!」  最も感じる部分を責められ、下肢の疼きが激しさを増して震えが止まらなくなる。  それでもヘルムートの淫戯は止まず、指先や舌で乳首と花芽をたっぷり愛でられた。 「あぁ……! あっ、あっ、あぁぁ!」  また絶頂を迎えたロザリアが、狂ったように嬌声を上げて全身を揺らした。  前後両方向から押さえられているため、淫獄から逃げることができない。  乳頭を捏ね回され、雌核に舌を這わされて、身も心も官能の愉悦に侵されていくようである。 「や……あぁ……。駄目……イッちゃう……!」  憚りのない言葉を口走り、ロザリアは鮮烈な快感に身悶える。  淫蜜と唾液にまみれた恥裂は、ビクビクと収斂を繰り返していた。膨らんだ雌核も未だに身震いし、いやらしく艶めいている状態だ。  短時間で何度も絶頂を味わわされ、すっかり息も絶え絶えになっていると、ヘルムートはようやく行為をやめてくれた。  唇についた愛蜜を舐め取ったのち、彼は分身を消してロザリアをベッドに横たわらせる。  その所作がとても丁寧で、こちらをいたわるように優しく扱ってくるものだから、ロザリアはたちまち胸を高鳴らせてしまう。  ヘルムートは彼女の長い銀の髪を撫でた後、トラウザーズの前を寛げて己の欲望を引き摺り出した。  昨夜、初めてそり勃った肉茎を見た時は、凶器のように映ったが今は微塵も恐ろしいと思わなかった。  いやらしい形なのに、どことなく雄々しさも感じられて、はしたないと思いつつもロザリアはつい見惚れてしまうのだった。  ヘルムートは口の端で小さく笑うと、濡れそぼった蜜口に切っ先を押し当ててくる。 「あ……」  硬い亀頭が触れた瞬間、媚芯はあえかに震えてジンと疼く。 「俺を受け入れたくてたまらないようだな。本当に素直でいい子だ」  ヘルムートは再び銀の髪を撫でては、ついばむようなキスを繰り返した。  まるで子供扱いされているみたいだが、不思議と不快感はなくむしろ心地良いとさえ感じるほどだ。  優しい愛撫と口づけにうっとりしていると、猛々しい剛直がゆっくりと膣内に侵入してくる。 「は……あぁ……」  昨夜のような痛みはなかった。代わりに淫靡なうねりが押し寄せてきて、ロザリアは頬を上気させて艶めいた声を上げる。  丸い先端が子宮口へ到達したところで、ヘルムートはゆるゆると腰を動かしていく。 「あぁ……ん……」  膣壁を擦りつける熱い肉棒の感触が、この上なく気持ちよくロザリアはたまらず締めつける。  昨夜、初めて彼を受け入れたばかりだというのに、体はずっと昔から快感を知っているかのようだ。 「早くもこんなに締めつけて……。よっぽど俺を求めていたみたいだな」  ヘルムートは獰猛な笑みを浮かべると、隘路を撹拌するように突き動かした。 「あぁぁ――ッ」  優しい抽送ではあったが、前戯で何度も達かされたせいで、ロザリアの体は早くも感じていた。  花唇は与えられる快感に収斂し、結合部からも新たな蜜が溢れ出している。  熟れた媚肉を責め立てているヘルムートも、息を弾ませては恍惚の眼差しを向けてくる。 「ロザリア……俺をこんなにも……夢中にさせる女は……お前一人だけだ……」  熱情に溢れた愛の言葉をささやくと、ヘルムートはロザリアの耳朶を甘噛みした。 「は……ぅ……」  更にそのまま舌先でくすぐられ、甘い快楽が背筋を駆け抜けていく。下肢の中心の疼きも強くなり、ロザリアは切なげに喘いで小刻みに体を震わせた。 「ん……っ……」  不意に、ヘルムートはわずかに苦悶の声を上げて、腰をビクンと痙攣させる。  その刹那、埋め込まれた雄肉が質量を増し、膣内で一段と熱く脈打っていた。 「は……あ……。ロザリア……」  ヘルムートは上擦った声で名を呼びながら、律動の速度を徐々に上げていった。 「あ……っ! あぁ……ん……!」  ロザリアは何度も身震いしては、口から艶めいた嬌声を漏らす。  彼女が悶えるたびに豊満な乳房は揺れ、蜜口もヒクヒクと戦慄いて男根を締めつける。 「そんなに煽るな、ロザリア……。俺の理性が……持たなくなってしまうだろう……」  ヘルムートは困ったように苦笑しながら、またしてもたわわな実りに手を伸ばした。 「や……。駄目……ッ、そんなに何度も……」  淫靡な手つきで膨らみを揉まれ、ロザリアは身を捩って逃げようとする。  だが、その動きはヘルムートの欲情を更に掻き立てるものでしかなく、乳首までクリクリと捏ね回されてしまう。 「あんッ……! あっ、あっ、あぁ……」  乳頭を弄られることで疼きが増し、下肢全体に官能の愉悦が奔る。  ヘルムートは感極まった様子でため息をつくと、猛った切っ先を最奥に強く押し付ける。 「あ……ああぁッ……」  灼熱の楔で獰猛に穿たれ、鮮烈な快楽が全身を突き抜けていく。  性器同士が擦れてぶつかり合う感触が、この上なく気持ちよくてたまらなかった。ロザリアは喜悦の涙を浮かべては、幾度となく下肢を引き攣らせた。 「あ……ぁ……。ヘルムート……お願い……」  ――身も心も、もっと熱い欲望で満たされたい……。  自分では抑えられない強い淫欲が湧き上がり、ロザリアはヘルムートにすがりついて喘ぎ混じりの声で嘆願する。  彼女の艶めいた所作は、ヘルムートの劣情もより一層掻き立てたようで、その表情や眼差しからは完全に余裕が失われていた。 「やっと俺の名前を呼んでくれたな……」  彼は嬉々とした笑みを見せると、息を弾ませて熟れた媚肉を責め立てていった。 「あっ……は……ぁ……ッ」  熱い屹立で中を容赦なく穿たれて、何もかも蕩けてしまいそうだ。  ヘルムートが欲求に応えてくれた悦びに、ロザリアの胸の高鳴りは増して全身も総毛立つ。  止まらない激しい律動に、膣襞も淫らにうねり歓喜に戦慄いていた。  するとまた、彼はわずかに身震いすると共に、己の昂りを更に怒張させた。 「あ……あぁ……ッ! また……大きく……」 「そうだ。そうやって、もっと俺を感じるんだ……」  ヘルムートは誘惑するようにささやきかけて、自身の欲望を伝えるように苛烈な抽送で中を攻め続ける。 「ひっ! あぁぁぁッ!」  ロザリアは獰猛な雄茎を締め付けては、体を弓なりに反らせて喜悦の悲鳴を上げる。 「う……っ……!」  淫襞が絡みついたことで、男根は一段と硬さと熱さを増していき、ヘルムートは再び苦悶の声を上げた。 「よっぽど俺を煽るのが好きみたいだな」  彼は結合部の上端で、密かに顔を覗かせている花芽を軽くつつく。 「ああッ!」  予期せぬ刺激を与えられて、ロザリアの体はビクンと大きく跳ね上がる。  リズミカルな抽送の動きに合わせるように、ヘルムートは敏感な突起も指先で転がし続ける。  淫らに愛でられている花芽は、膨らみを増してヒクヒクとあえかに震えるのだった。 「は……あぁん……!」  鮮烈な快感が容赦なく襲いかかり、ロザリアは感極まった声で鳴いて仰け反った。  こんなにたくさん刺激されたら、本当におかしくなってしまいそうなのに、肉芽をなぶる指の動きや剛直の熱が気持ちよくてやめてほしいと言えない。 「あぁ……。本当に……お前の全てが愛しくて……たまらない……」  ヘルムートは触れるだけの口づけをしたのち、激しい指戯と律動でロザリアを官能の深みへ堕とす。 「あっ、あぁぁぁ――!」  中を掻き乱され、花芽を剥かれてたちまち絶頂に達し、下肢がひとりでに震える。  だが、ヘルムートの抽送が止まる気配はなく、雌核を捏ね回すのもやめようとしない。 「あっ、あぁ……いや……! もう……しないで……!」 「まだ俺が達していないだろう……」  ヘルムートは上擦った声で告げると、猛ったものをぐいぐいと押し進めてくる。  深紅の瞳には理性のかけらも残っていなかった。子宮口を容赦なく穿つ雄肉も、己を誇張するように大きさを増していた。 「ああぁ……」  中を獰猛に擦られたせいで、痛いぐらいに痺れている。  しかし、今のロザリアにはその感覚も快楽でしかなく、体を戦慄かせては男の熱塊を締め上げるのだった。  その直後、ヘルムートは腰を仰け反らせて、煽情的な喘ぎ声を漏らす。  続いて剛直は大きく脈動し、欲望のままに熱い奔流を吐き出した。 「あ……あぁ……ッ!」  雄の精を受け止めた子宮は悦びに震え、全身に甘美な陶酔のうねりが駆け抜ける。  立て続けに絶頂を迎えたロザリアは、蕩け切った表情でその身をベッドに沈ませた。  一滴残らず欲望を吐き出したヘルムートも、憔悴したような顔で乱れた髪を掻き上げる。  それから呼吸を整えたのち、彼はロザリアの中から男根をそっと引き抜く。  穂先まで抜かれた瞬間、言いようのない寂しさが込み上げてきて、気付けばヘルムートの手首を掴んでいた。 「ロザリア……?」  ヘルムートは目を丸くしてこちらを見返す。  ロザリア自身、なぜこのような行動に出たのかわからなかった。ただ、ヘルムートとのつながりがなくなったことで、このまま彼がいなくなってしまうような気がしたのである。 (この感じ、前にもどこかで経験したことがあるような……)  それがいつのことなのか思い出せないまま、ロザリアは潤んだ瞳をヘルムートに向ける。 「今夜は……このまま、そばにいて……」  甘えるような掠れた声で懇願すると、ヘルムートは優しい笑顔を見せていたわるように抱きしめてくれた。 「今夜だけじゃない、俺はずっとお前のそばにいる」  低く艶のある声音や肌のぬくもりが、疲れ切った体にはとても心地良かった。  ロザリアは表情を綻ばせると、男らしいたくましい胸板に頭を埋める。  するとまた、ヘルムートに包み込むように抱きしめられて、何度も髪を撫でられたのだった。
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