第二章 ~散らされた無垢な薔薇~

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第二章 ~散らされた無垢な薔薇~

 気付いた時にはすでに、邸のホールと思しき場所に立っていた。 「ここは……?」  呆然と建物内を見渡すロザリアに、傍らに立つヘルムートが「俺の城だ」と告げる。  にわかには信じられないが、本当に魔界へ連れて来られたのだろう。  悪魔や凶暴な魔獣の住むこの世界は、常人には行き来することのできない場所である。不運にも魔界に迷い込んでしまえば、魔の瘴気に体を侵されて死ぬか魔獣に食い殺されるかのどちらかだ。  黒の魔女であるロザリアなら、前者で命を落とす心配は全くないだろう。その代わり、彼女の持つ強大な魔力を狙って多くの魔獣が襲いくる筈だ。  ロザリアの恐れを感じ取ったのか、ヘルムートは心配無用という風に余裕の笑みを浮かべた。 「心配するな、この辺り一帯は魔獣一匹たりとも近づいてきやしない。俺はこれまで大半の魔獣共を打ち負かしてきたから、もし来たとしても追い返してやるさ」  まるでこの魔界において、自分に敵はいないと言わんばかりの口調と声色である。  ついさっき、あの恐ろしいマンイーターを難なく退けたのだから、実力は確かなのだろう。  しかし、相手が魔獣となれば話は別だ。  奴らは上級魔族にも牙を剥くという話を聞いたことがあるし、何よりロザリア自身が幼い頃に襲われたのだから。 「何だ、その顔は」  ロザリアの懸念が思い切り表情に出ていたらしく、ヘルムートはわざとらしく大げさにため息をつく。 「俺のこと信じてないのか? あの時、お前の目の前で退けてやっただろう?」 「え? あの時……?」  ヘルムートの言葉で一瞬、自身が召喚した魔獣に襲われた時の記憶が蘇る。 (あの時、誰かが私を助けてくれた……?)  幼かった自分が、魔獣相手に無事に済んだ理由があるとすれば、それ以外に思い浮かばない。  だが、肝心な部分は全く思い出せず、また頭の奥に鈍い痛みが走る。 「うぅッ!」  こめかみの辺りを押さえて苦悶の声を上げるロザリアを見て、ヘルムートがすかさず肩を抱いてくれた。 「ロザリア、大丈夫か!?」 「平気よ」  これ以上、真意の読めない相手の助けを借りたくなくて、ロザリアは気丈に振舞って一人で歩こうとする。  しかしそうするよりも先に、ヘルムートに体ごと抱き上げられてしまう。 「ちょっとやだ! 降ろしてよ!」  恥ずかしさのあまり慌てて降りようとすると、「暴れるな」とたしなめられた。 「このままお前を連れて行く。いいな?」  ヘルムートは有無を言わせない口調で告げると、ロザリアを抱きかかえたまま颯爽と階段を上っていく。  ロザリアは恥ずかしさを堪えたまま、落ちないように彼にしがみついた。 (私、これからどうなってしまうの……?)  運ばれている間中、ずっとそのことばかり考えていた。  そもそも、なぜ自分がここへ連れて来られたのか、未だにわからない。  ヘルムートの言動からわかったのは、少なくとも魔力が目当てでないということだけだ。  ――だとすると、この男の目的は一体何なのだろうか?  あれこれ逡巡しているうちに、気付けばいつの間にか大きな扉の前まで来ていた。  ヘルムートは無言で扉を開けて中へ入る。  その先には大きな寝室が広がっていた。  ベッドやクローゼットなどの家具は、どれも豪華で上質なものばかりだ。それだけで、ヘルムートが魔族の中でも地位が高いのが窺える。 「家具には髑髏を彫ってないのね」  ロザリアが試しに皮肉を言ってみると、ヘルムートは可笑しそうに笑った。 「さすがの俺も、そこまで悪趣味じゃない。それに、部屋まで髑髏だらけにしたら落ち着かないだろう」  彼の返答を聞いたロザリアは、クスッと小さく笑う。  するとヘルムートはなぜか嬉しそうに、「少し笑うようになったな」と声を弾ませるのだった。 「私が笑っただけで、なぜそんなに嬉しそうな顔をするの?」 「そりゃあ、好きな女が楽しそうに笑う姿が見られたんだ。嬉しいに決まってるだろう」  好きと告げられた瞬間、顔が一気に熱く火照って鼓動も激しくなる。 (この男、一体どこまで本気なの……?)  ロザリアはますます、ヘルムートの真意がわからなくなった。  ――いくら魅力的な外見とはいえ、相手は恐ろしい悪魔だ。絶対に心を動かされてはいけない。  自身にそう言い聞かせても、なぜかこの男に惹きつけられてしまうのだった。 「ねえ、そろそろ……降ろしてほしいんだけど……」  いつまでも抱きかかえられた状態でいるのは恥ずかしい――ロザリアは恐る恐る懇願してみる。  するとヘルムートは口角をわずかに吊り上げて、彼女をベッドの上にそっと降ろした。 「え? 何で……あなたのベッドの上なの……?」 「鈍い奴だな。さっき言っただろう、お前を俺だけのものにすると」  ヘルムートは外套を脱ぎ捨てて素早くロザリアに覆いかぶさり、間髪を入れずに唇を重ねてくる。 「んっ……んん……」  人間界でされたものよりも、ずっと激しく濃厚な口づけだった。  ロザリアは抵抗を試みるも、ヘルムートが逃がさないとばかりに執拗に口腔内を舐ってくる。  その一方で、淫靡な口づけに胸の高鳴りを覚え、気付けば彼の舌を受け入れていた。 「ふ……ぅ……ん……」  やっと唇が離れたかと思いきや、今度は角度を変えて口づけられ、中を味わうようにじっくりと貪られるのだった。  その間のロザリアはなす術もなく、強引な口づけを受け入れるしかなかった。  不意に、背中を優しく撫でられ、ワンピースのホックをそっと外される。 (嘘、まさか……!)  未経験のロザリアでも、これから何をされるのかすぐに予想がついた。それと同時に脳内で警鐘が鳴り響き、急いでヘルムートから逃れようと身を捩る。 「何だ? 俺から逃げるつもりか?」  ヘルムートはそっと耳打ちしながら、ロザリアが着ているワンピースを脱がせていく。 「い、いや……お願いだから……待って……」  下着だけは脱がされるまいと、彼女は自身の体を両腕で抱きしめてかぶりを振る。 「悪いがそれは無理だ。もう十三年も待ったんだ、これ以上は我慢できない」  言うが否やヘルムートは、下着をも強引に剥ぎ取ってしまう。 「あぁ、いや……!」  一糸まとわぬ姿を異性に見られる恥ずかしさから、ロザリアは慌てて胸元を隠そうとする。  だが、ヘルムートによって素早く両手首を掴まれ、全身を隈なく見つめられることとなった。 「体の方もちゃんと成長してるじゃないか。本当に、俺好みのいい女になったな」  感慨深げにロザリアの裸体をじっと眺めたのち、ヘルムートは胸元に口づけを落とした。 「あっ……」  ロザリアは小さく喘いで身震いする。  決して怖いわけではない。どういうわけか快感に似たものが生じて、体が勝手に反応してしまうのだ。  ヘルムートは一ヶ所のみならず、次々と胸元にキスの雨を降らせていく。 「あ……あ、あぁ……」  唇が肌に触れるたびに、ロザリアは体を波打たせて悩ましげな声を上げた。  気付けば白い胸元には、無数の口づけの痕が刻まれていた。  それを見たヘルムートは満足げにほくそ笑む。 「やっぱりお前には、薔薇の花が似合っているな。すごく綺麗だ」  彼はそう称賛したのち、おもむろに豊満な乳房を優しく掴んだ。 「あ、あぁ……」  片手を解放されて抵抗できる状態になっても、美しい魔族の男に胸の膨らみを触れられる様を、ロザリアはただ呆然と見つめるばかりである。  また、会って間もない相手にふしだらな真似をされているにも拘わらず、どういうわけか嫌だとも思わなかった。 (一体、どうしてなの……?)  混乱するロザリアをよそに、ヘルムートは嬉々とした様子で乳房を揉みしだいていく。 「こんなにも大きくて柔らかくて、まさに最高級の胸だな……」 「あぁ……ん……」  口から甘切ない嬌声が漏れ出てしまい、ロザリアはたちまち羞恥心に襲われる。  ――ただ胸を弄られているだけなのに、なぜこんないやらしい声が出るのだろうか?  だが、一番の疑問はこの淫らな行為によって、快感に似たものが込み上げてくることだ。  自分で触れても何も感じないというのに、この男に触れられるだけでなぜこんなにも気持ちいいと感じるのか、ロザリアには全く以って理解不能だった。 「念のため訊いておくが、この最高級の胸を俺以外の奴に触れさせたことはないよな? 例えばさっきの奴とか」  二つの膨らみを揉みながら、ヘルムートは声のトーンを落として尋ねてくる。  その口調や深紅の瞳からは、黒く渦巻く負の感情が見え隠れしていた。  どうやらヘルムートは、ルーネスに対して嫉妬心を抱いているらしい。 「あ、当たり前でしょう……」  緊張しながらも正直に答えると、彼は安心したように表情を緩めた。 「それならいい。俺もできれば、血で血を洗うようなことは避けたいからな」  ヘルムートは軽い口調で恐ろしいことを言ってのける。 「一体、何をするつもりだったの……?」  ロザリアは気になって尋ねてみたが、それに対する答えはなく代わりに優しく口づけられる。 「そんなこと、どうでもいいだろう。それよりも俺は、お前をじっくり愛したいんだ」  ヘルムートは軽く舌なめずりすると、胸の頂にある小さな突起を愛撫し始めた。 「やっ……あぁ……」  その刹那、触れられた部分から痺れに似た感覚が生じ、腎兪の辺りがわずかに熱を持つ。 「今の声、悪くなかったぜ」  ヘルムートは優しく告げると、乳首を摘んでクリクリと弄っていく。 「あっ、あぁ……いや……」  ロザリアは憚りのない声を上げて、嫌々という風に何度も首を振った。  しかしながら、その美貌には恍惚とした表情が浮かんでおり、頬も薔薇のように赤く染まっていた。 「お前のその気持ち良さそうなイキ顔、たまらないな……。乳首の方も、もうこんなに硬くなって……」  ヘルムートは陶然とつぶやいて、硬く尖った乳首をいやらしく責め立てていく。 「は、あぁ……ッ!」  胸の尖端に生じる快感に翻弄されるように、ロザリアはあられもない声を上げて体を軽く仰け反らせる。  淫らな指戯によって、小さかった乳頭は丸く膨らみを増し、色も濃い紅色へと染まっていた。  こうして乳首を弄られるたびに、ロザリアは気持ちいいと感じるばかりか、もっと甘い刺激が欲しいというはしたない願望まで抱いてしまう。 (私、何ていやらしいことを考えているの……?)  ――自分の体に触れているのがこの男だから、こんなにも感じてしまうというのだろうか?  考えれば考えるほど、ロザリアはますますわからなくなっていく。  するとヘルムートは呆れた様子でため息をついた。 「……ったく、愉しんでいる最中に余計なこと考えるなよ。萎えちまうじゃねぇか」 「や……ッ!」  少し痛いぐらいに乳首を引っ張られ、ロザリアは小さな悲鳴を上げた。  だが、その痛みもすぐに快感へと変化し、同時に体は熱く火照っていく。 「一体、何を考えていたんだ? まさか、奴のことじゃないよな?」  乳嘴をいやらしく責めながら、ヘルムートは獰猛な眼差しを向けて尋ねる。  その瞳を見ただけで、彼が恐ろしい相手であるということを、改めて思い知らされるのだった。 「ち、違う……」  ロザリアは今にも泣きそうな声で答えた。 「だったら、考えていたことを話してみろよ」  まるでこちらを試すような口調で、ヘルムートは意地悪く耳打ちしてくる。  もしこのまま黙っていれば、この男は確実にルーネスに危害を加えるだろう。  淫らな願望を抱いているなど知られたくないが、自分と近しい間柄の人が傷つくよりはずっといい。  ロザリアはこの上ない恥辱に耐えながら口を開く。 「あ、あなたに……いやらしいこと……されて、気持ちいいと……感じるばかりか、もっとしてほしいって……願ってしまって……」  たどたどしくもどうにか正直に答えると、ヘルムートは口の端を吊り上げて「へぇ」と意味ありげな声を上げた。 「それはつまり、ちゃんと俺に気があるって証拠だよな?」 「どうして……そうなるの……?」 「もし嫌いだったら、気持ちいいなんて絶対に感じないし、何よりもっとしてほしいって願う筈もないからだよ」 「だからって、あなたのこと……好きかどうかは――」  言いかけたところでロザリアは、果たして本当にわからないのだろうかと首をひねる。 『彼を見ている時のあなたの目、すごく輝いていたわよ。それってつまり、彼に恋をしている証拠よね』 『昔、あなたのお母さんが恋をしている時の表情に、よく似ている気がしたのだけど』  ふと、クリスタやエヴァンジェリンの言葉が、ロザリアの脳裏に蘇った。 (やっぱり私は本当に、ヘルムートのことが好き? だから彼にいやらしく触れられたいって思うの?)  戸惑いを隠せずにいるロザリアに、ヘルムートは静かに笑いかけてくる。  先程までの不遜な笑みとは違い、こちらをいたわるような優しい笑顔だった。 「認めるのが怖いのか? だったら尚更、じっくり時間をかけて愛してやらないとな」  至極優しい口調でそう告げると、ヘルムートは胸の谷間や乳首に口づけを落としていく。 「あぁ……」  口づけの痕を刻まれた時と同じように、またしても体が震えて淫らな声を上げてしまう。  それから立て続けに、紅い先端を優しく食まれ口腔内で転がされた。 「は、あぁ……」  ロザリアの口からあえかな嬌声が漏れた。  濡れた舌で撫で回され、背筋が震え上がるような愉悦を覚える。  完全に恐怖や戸惑いは拭い切れていないが、初めて与えられる快感に全身が総毛立つのがわかった。 「ロザリアの乳首、こうやって俺の舌で転がされて、気持ちいいって言っているぜ」  ヘルムートは嬉しそうに目を輝かせて、乳頭をチロチロと舐り続ける。 「あ……ッ! あぁ……ん……」  恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、ロザリアはすっかり感じ入った様子で舌戯を受け入れていた。  そんな彼女の心情に気付いたのか、ヘルムートはしこった乳首にそっと歯を立てた。 「ああッ!」  甘噛みされただけなので痛みはなかったが、ロザリアはたまらず悲鳴に近い声を上げた。同時に体がわずかに仰け反り、その弾みで乳房もたわんで揺れ動いた。  するとヘルムートは淫靡な眼差しを向けてくる。 「そんな風に目の前で乳房を揺らされたら、ますますそそられちまうじゃねぇか」 「や……あぁぁッ!」  次の瞬間、乳首を強めに吸い立てられて、ロザリアの嬌声が一際甲高くなる。 「だんだん反応が良くなってきたな。お前の感度が上がっている証拠だ」  ヘルムートは舌戯や甘噛みを続けながら、もう片方の乳首を指先で責め立てていく。 「あぁ……ぅ……」  舌先と指で同時に擦られる快感が、ロザリアの全身を絶え間なく駆け抜けて下肢の淫靡な疼きを強めていった。 (私は本当に、こんないやらしいことされるのを、望んでいたの……?)  考えただけで、今までにない羞恥心が込み上げてくる。  しかし、官能の悦びを知った体の方は、従順にヘルムートの愛撫に反応してしまうのだ。  そして全く触れられていない下腹部が、先程からなぜかじわじわと熱くなっている。それだけに留まらず、足の間が濡れているような感覚があった。  性行為で気持ちよくなってくると、男を受け入れるために蜜が溢れるという話を聞いたことはある。  だが、自分が今まさにその状態になっているなど、にわかには信じられなかった。  ――これ以上、この男に痴態を見せたくなどない。  不意に、ヘルムートの片手がロザリアの下肢へと伸びてきて、閉ざされた割れ目をそっと撫でられる。  あまりにもタイミングが良すぎるので、こちらの心を読まれたのではと思ってしまう。 「やぁッ!」  ロザリアは身を捩って彼の指先を拒むも、その抵抗も虚しく入り口付近をまさぐられた。 「は……あぁう……」  すでに濡れていた陰唇は、ほんの少し動かされただけでクチュクチュと淫猥な水音を立て、それがより一層ロザリアの羞恥心を掻き立てていった。 「こんなに濡れているじゃねぇか」  ヘルムートは弄うように笑いながら、いやらしく指先を動かしていく。  そのたびに花唇はヒクヒクと蠢いて、新たな淫蜜を滴らせる。 「いや、お願いだから……やめて……」  ロザリアは目を潤ませて、喘ぎ混じりの声で懇願する。 「駄目だ。初めてなんだから、しっかりほぐしてやらないと」  優しくたしなめられたのち、狭い蜜口をほぐすように抽挿される。  ロザリアが欲しいと言っておきながら、ヘルムートは決してすぐに犯すような真似はせず、時間をかけて丁寧に愛でてくれるのだ。  悪魔らしく傲慢で自分本位な一方で、こうして優しさを見せてくるものだから、ロザリアは彼を憎むことができずにいた。  それから指はもう一本追加され、それぞれ異なる動きで隘路を撹拌された。 「や……あぁ! いやっ! そんなに……入れないで……!」 「二本に増えたぐらいで騒ぐな。俺のはもっとでかいんだからよ」  ヘルムートの言葉を聞くなり、ロザリアはたまらず目を見開いて絶句する。  彼の言う「俺の」とは、男性器のことを指しているのだろう。  クリスタの家にあった医学書や芸術品などでしか目にしたことはないが、今の話から察すると相当の大きさであると容易に想像がつく。  そんな巨いなるものを受け入れるなど、どう考えても無理な気がしてロザリアは自然と逃げ腰になる。  するとヘルムートは再び、魔族特有(?)の怖い眼差しを向けてきた。 「ここまで気持ちよくなっておきながら、今更逃げるつもりか?」  脅すような口調で問い詰められたのち、上端部にある突起を軽くつつかれる。 「はぁぁん!」  今までにない強い快感が生じ、ロザリアは体を大きく仰け反らせた。  淫靡な痴態を目の当たりにしたヘルムートは、恍惚の笑みを浮かべて指の腹で陰核を擦り立てていく。 「あっ、あぁ……いや……ぁ!」  自分でも恥ずかしくなるほどの嬌声を上げて、ロザリアは下肢をガクガクと痙攣させる。  ヘルムートは彼女の乱れる様子を愉しむように、鋭敏な突起を捏ね回しては時折指先で軽く弾いた。  包皮を剥かれた肉芽は丸く膨らんでいた。二本の指でまさぐられている花唇も、ビクビクと戦慄いては淫蜜を滴らせるのだった。 「どうだ? ここを弄られると気持ちいいだろう?」 「し、知らない……ッ!」 「素直じゃないな」 「あぁッ!」  可憐な尖りをグリグリと転がされ、下肢の中心が一段と熱く疼く。  自分で体を洗った時は、少しくすぐったい程度でここまで感じたことはない。それが今、ヘルムートの指先で翻弄されるのがこの上なく気持ちよくて、甲高い嬌声を上げられずにはいられなかった。 (こんな淫らなことをされて、悦んでしまうなんて……)  自分の意思とは無関係に、彼の淫戯に快感を覚える体が、ロザリアは腹立たしくて仕方がなかった。  そんな彼女の心情を知ってか知らずか、ヘルムートは巧みな指戯で雌核や花唇を責め立てていく。  執拗になぶられた陰核は、すっかり充血して膨らみを増していた。蜜口からは相変わらず、官能の滴りが止め処なく溢れているのだった。 「お前のここ、すっかりトロトロになったな。早く入りたくてたまらない……」  ヘルムートは指を動かしながら陶然とつぶやくと、片手で器用にトラウザーズの前を寛げて男根を引き摺り出した。 「いやぁぁっ!」  屹立した猛茎を目の当たりにしたロザリアは、すっかり取り乱して悲鳴を上げてしまう。  今にも泣き出しそうな彼女を見て、ヘルムートは呆れた様子で苦笑いを浮かべた。 「ペニスを見たぐらいで、パニックになるんじゃねぇよ。もう十八だろう?」 「そ、そんな恐ろしいもの……初めて見せられたら、誰だって悲鳴を上げるに決まっているでしょう……!」 「惚れた男を無理矢理押し倒したあの女とは大違いだな」 「あの女……?」  ――一体、誰のことを言っているのだろうか?
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