Ⅰ.喋ってはいけない

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 彼らはテレビ番組の撮影のため、日本からわざわざイギリスの心霊スポットにやって来たテレビクルー。二日後の本番のため三人は下見に来た。  だが、初めての道とあり迷い、この時間となってしまった。  痩せた男が鞄からハンディカメラを取り出し、門前からの風景を撮る。 「北村、どんな感じだ」 「あー、暗視カメラでもキツいな。かなり光源が必要だ」  カメラを回しながら北村は渋い顔をした。  今までの撮影と同様にライトも三つ程度しか持って来なかった。だが、今までの比にはならないほど暗く、どこかで調達するしかない。  ディレクターの眞嶋はスマホを取り出し、ホテルにいる仲間に連絡をしようとする。  画面に表示されるのは『圏外』。 「チッ、圏外か」 「もう! さっさと終わらせて帰りましょ」  今回の主役である久米田は腕を摩りながら、震え声で言った。  見れば見る程屋敷が恐ろしく、一刻も早くホテルに戻りたかった。  生ぬるい風が吹く。 「南京錠が掛けられている。流石に壊すわけにはいかないか」  眞嶋は門に掛けられている南京錠を見て、溜め息を吐いた。
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